研究課題/領域番号 |
18K13237
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
張 興国 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60780492)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 運転教育 / 仮想現実 / 事故防止 / 全方位カメラ |
研究実績の概要 |
平成30年度は,実写の360度運転映像の収集と運転者教育システムの開発を行った。 全方位映像収集には,360度カメラ「GoPro Fusion」を用い,運転者の左目に近い位置にカメラを固定して撮影する。走行環境(交差点,高速道路,山道,バス停留場付近,横断歩道など),時間帯(日中,薄暮,夜間など),気象条件(晴天,霧,降雨,降雪,積雪など)などの条件に応じて分類された。 また,映像収集段階では,衝突事故,交通違反など危険度が高い場面を表現することが難しいので,本研究では,事故発生する直前の映像に対しUnityエンジンを使い,3DCG技術で作成した仮想的な立体対象物を実写の360度運転映像に追加処理を行った。この技術により,出会い頭の事故(信号のない交差点),交差点における自動車の左折巻込み事故,路側帯から車道への進出事故などの危険場面を手軽かつ安価的に再現できた。現時点では,実写映像と合成した仮想物体の違和感が多少残ってしまうため,今後は差が目立たないように調整する必要がある。 さらに,事故が発生するまでの運転者の危険場面に対する認知行動を計測する機能を開発した。仮想のレーザーポインターの動作を体験者の視界として追跡及び分析することで,周囲の状況に気を配れているか,安全確認を正しく行っているかなども計測する。 上記の運転者教育システムを用い,訓練効果の検証実験を行った。その結果,従来の運転者危険予測教育システムよりも臨場感と自主性を高めて訓練を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,臨場感と使用者の自主性を高めることを目的に,全方位映像とヘッドマウントディスプレイ,入力用の小型端末を用いた運転者に対する危険予測教育システムの開発を行った。また,本システムを使用した場合の訓練効果を確認する為に検証実験を行ったところ,来年度は危険予測能力の向上を推移として評価することを行う予定である。当初の計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,より詳細に場面の種類を統一し,多くの場面映像を用いて検証実験を行うことで,本システムの利用における訓練効果を明らかにしていく予定である。走行環境,時間帯,気象条件の異なる条件の映像に対し評価実験を実施する。計測結果をもとに,各条件における平均反応時間について傾向を分析する。また,仮想のレーザーポインターの動作を体験者の視界として追跡及び分析することで,周囲の状況に気を配れているか,安全確認を正しく行っているかなども計測する。 検証実験の計測内容は平均反応時間とし,同じ映像シナリオに対して複数回計測を繰り返した後,さらに提示される異なる映像シナリオに対しても同様に実施する。計測結果を最初の計測結果と比較し,平均反応時間に有意差が見られるかを検証する。なお,被験者毎の差異および若年層と高齢層での傾向の違いについても明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
全方位映像を撮影するカメラは当初の見積もり額よりも低価格にて購入できたため.
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