研究課題/領域番号 |
18K13242
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田島 祥 東海大学, 現代教養センター, 准教授 (60589480)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルチタスキング / 学習時のメディア使用 / 計量テキスト分析 / 共起ネットワーク |
研究実績の概要 |
現代の学習環境にはメディアがあふれている。学習に寄与する有効活用がある一方で、「ながら勉強」などと称される、集中や理解の妨げとなりうるメディア使用もある。本研究は、家庭や学校における学習時のメディア使用が及ぼす影響と、それに関わる個人差要因について検討することを目的としている。 二年目(令和元年度)は、昨年度に引き続き、大学生を対象に日常生活における学習時のメディア・マルチタスキングの実態を把握するための調査を行った。「授業中」と「授業外の勉強中」の2つの学習状況において、学習に関連する内容での各メディアの利用と、学習に関連しない内容での利用について尋ねた。昨年度の回答と合わせ、790名のデータを分析した結果、全般的に授業中よりも授業外の勉強中の方が多様なメディアが利用されていることや、授業中は学習に関連する内容での利用が多く、授業外の勉強中は学習に関連しない内容での利用が多いという実態があることが示された。 また、このような学習時のメディア・マルチタスキングについて、どのような影響があると思うかを自由に記述させた内容に対し、計量テキスト分析を行った。探索的な検討の結果、良い影響については、知識の増加や理解の深化、リラックス効果、共に学ぶ仲間の存在などの9つの観点が解釈された。また、悪い影響については、集中の妨げや学習からの逸脱、自ら考える力の低下などの9つの観点が解釈された。このような学習者の持つ影響観に着目することは、学習時のメディア・マルチタスキングの実態を理解する上で重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、家庭や学校における学習時のメディア使用が及ぼす影響と、それに関わる個人差要因について検討することを目的としている。当初の計画通り、大学生を対象とした学習時のメディア・マルチタスキングの実態調査を行い、成果の一部を学会で発表した。また、個人差要因の一つとして影響観に着目し、分析を進めた。以上のことから、おおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
三年目(令和二年度)は、引き続き習慣的な学習時のメディア・マルチタスキングに関連する個人差要因について検討を進める。また、影響について検討するため、文献調査等準備を進める。なお、オンラインで授業を受講する機会が増えていることをふまえ、調査項目や調査の実施方法については、状況に合わせて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
費用を計上していた調査に関し、二年目に検討した影響観に関する変数も含めるため、当初予定していた時期から実施がずれ込み、次年度使用額が生じた。繰り越し分と翌年度の助成金を合わせて、当初の計画に沿って研究を遂行する予定である。
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