研究課題/領域番号 |
18K13244
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
井上 千鹿子 日本医科大学, 医学部, 助教 (90453042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教材開発 / ムラージュ / シミュレータ / 医学教育 |
研究実績の概要 |
医療分野の教育において、実体験による学修が困難な医療場面はシミュレーションを活用することが望ましく、シミュレーション教育プログラムの開発に対し期待が寄せられている。近年、模擬患者やシミュレータ(教育用マネキン)を活用した教育が普及しているが、moulage(特殊メイクの意、以下、ムラージュ)を活用した例は極めて少ない。その要因として、メイク技術の簡易化・標準化が課題であった。本申請者はこれまでの研究で、この簡易化・標準化の課題に取り組み、転写シールを用いたムラージュを作成してきた。この結果、シミュレーション教育におけるムラージュの新たな活用方法が見出された。 そこで、本研究では、これまでに研究代表者が行ったムラージュに関する成果を発展させ、実体験による学修が困難な医療場面のシミュレーション教育プログラムで活用できるムラージュ教材の開発することを目的としている。本研究期間中に次(Ⅰ)~(Ⅳ)の実施を計画している。具体的には(Ⅰ).実体験による学修が困難な医療場面のシミュレーションに関する調査、(Ⅱ).転写シール式ムラージュを用いたシミュレーション教材の開発、(Ⅲ).診察手技指導のサポートツールとしてのムラージュの開発、(Ⅳ).シミュレーション教育の教材としての有効性の検証、を主な計画としている。 令和元年度は、ムラージュの開発に向けての情報収集と、(Ⅱ)、(Ⅲ)の開発作業を中心に行った。また平成31年度より引き続き、シミュレータ(マネキン)での活用方法についても開発を進めてきた中で、模擬患者が装着することを想定した模擬皮膚のモデルを開発した。これにより模擬患者がムラージュを使用する際の安全性が向上し、新たな教材としての活用の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度に主にムラージュの教材開発に向けての情報収集と開発作業を計画していたが、ムラージュの開発に関しては当初の計画より進展し、応用的な活用方法について新たな知見が得られた。シミュレータ(マネキン)へのムラージュの活用を検討していた中で、模擬皮膚の応用的な使用方法を開発する過程で、模擬患者が装着する模擬皮膚としての活用が見出された。模擬患者へのムラージュの使用に関して、これまで安全性に関する課題(皮膚トラブルへの対応、等)があったが、模擬皮膚の開発により模擬患者がムラージュを使用する際の安全性が向上した教材の可能性が示唆された。教材開発に関しては本研究の中核として考えており、令和元年度の成果としてはおおむね進展していると考えられる。 以上のことから、総じて「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、Ⅰ.実体験による学修が困難な医療場面のシミュレーションに関する調査、Ⅱ.転写シール式ムラージュを用いたシミュレーション教材の開発、Ⅲ.診察手技指導のサポートツールとしてのムラージュの開発、Ⅳ.シミュレーション教育の教材としての有効性の検証、を行う予定である。主な内容として、Ⅱの転写シール式ムラージュの開発を中心に、令和元年度に行った模擬患者装着用の模擬皮膚の開発、平成31年度から行っているシミュレータ(マネキン)へのムラージュ、シミュレータ模擬皮膚の修復方法の開発に関しても引き続き実施予定である。 なお、新型コロナウィルス感染症の影響で、対面を伴う(Ⅰ)の調査研究や(Ⅳ)の検証作業に関しては困難が予想されるため研究方法の変更を予定している。また、研究代表者が単独で行うことが可能な(Ⅱ)、(Ⅲ)の教材の開発に重点を置く予定である。教材開発は、本研究の中核であり、研究の推進に支障は少ないと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度にパソコンの購入を計画していたが、購入物品を検討していたところ購入時期を見送ったため、次年度使用額が生じた。令和2年度に使用予定である。
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