研究課題/領域番号 |
18K13247
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
谷 賢太朗 新潟医療福祉大学, 医療経営管理学部, 助教 (40758322)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 視覚障がい者 / 一次救命処置 / 胸部圧迫 / アプリケーション / スマートフォン |
研究実績の概要 |
救急場面での心肺蘇生法をはじめとする一次救命処置は、心肺停止患者の予後に大きく関与する重要な処置である。心肺蘇生を行った場合と行わなかった場合では1か月後の生存率に1.8倍もの違いが出ている。一方、視覚障がい者にとって心肺蘇生法は、その講習が晴眼者を対象として視覚情報を前提として行われるため、触れる機会が少ない。しかし社会生活を行う中で、視覚障がい者も心肺蘇生法を実施する機会は十分考えられ、その時適切な対応をとれる様になっておくことは重要である。そこで本研究では視覚障がい者向けの心肺蘇生支援、教育のためのアプリ開発を行っている。このアプリは、救急救命現場において、視覚障がい者が行う心肺蘇生処置の支援を行う機能と、視覚障がい者が心肺蘇生処置の練習が行える機能を持つ。この機能により、視覚障がい者に不足している心肺蘇生法を学ぶ機会を与え、現場での適切な対応を支援できる。 2018年度においてはアプリケーションに必要な要件について考察を行った。申請段階ではWebアプリによる実装を予定していたが,実行環境や性能を考慮しiPhoneアプリによる実装に変更してアプリの試作を行い,インターフェースについての考察を深めた.本年度は視覚障がいの中でもロービジョンに限定してアプリ試作を行った。試作したアプリは視覚障がい者の方に意見を頂いた他、視覚障がいシミュレータを装着した晴眼者にも協力してもらい、より多くの意見を集めた.視覚障がい者向けの心肺蘇生法の支援手順や指導手順については、研究代表者が務める新潟医療福祉大学の救急救命学科に協力を仰ぎ、検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では視覚障がい者向けの心肺蘇生支援Webアプリを開発することを目的としている。その機能として下記2点の実現を目指している。 a)視覚障がい者が行う心肺蘇生処置の支援を行う。 b)心肺蘇生処置の練習が行える。 2018年度における申請時点での計画ではWebアプリに必要な要件について実験を通して考察する,としている。試作したアプリは実装をiPhoneアプリに変更したものの,インターフェースについての考察は計画通りに進み、a)、b)両機能についての適切な情報提示方法の模索を行っている。視覚障がい者の方に意見を伺い,試作したアプリケーションも計画通りに制作できているため順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は当初の予定通り,実験を通して得られた要件を実現できるようなアプリ機能の試作を行う。アプリ機能は2018年度に作成したものをベースにより実用に即した形に修正していく.また実験を通して本アプリの機能検証を行う。実験に関しては視覚障がいの方や視覚障がいシミュレータを用いた晴眼者の方に協力を仰ぎ,アプリケーションのインターフェースや実用性,教育効果などについての検証を行っていく.
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