研究実績の概要 |
脳波の状態を音や映像としてフィードバックするバイオフィードバックによる脳波セルフコントロールは難治性のてんかん患者の異常脳波抑制をはじめとし、ADHD患者の衝動抑制及び認知機能向上に効果をあげている。本研究では、家庭でも利用できる、より低コストなオーダーメイド脳波計を用いた集中力向上支援システムの開発を提案した。研究開始当初は簡易脳波計の精度を調査し、安定した信号記録が可能なBackyard Brains社製のHuman Spiker Boxを計測に用いることになった。2020年度及び2021年度は長岡技術科学大学の和田研究室との共同研究を行った。BIOSEMI社製医療用脳波計を用いて脳波コントロールを最も行いやすい記録個所の同定を行い、脳の部位ごとのガンマ波及びアルファ波帯域の振幅及びコントロール精度の比較を行った。その結果、集中力を向上させたいという意欲が高い被験者はトレーニング効果が高く、有意差も認められた(Krusukal Wallis test, N=1)。2022年度及び最終年度である2023年度は被験者の意欲を上げるための研究を中心に行った。2022年度はスマートホンが思考力、集中力に与える影響についての研究を行い、テストの結果にかかわらずスマートホン操作が思考力と集中力を阻害することが分かった(2023年8月第46回日本神経科学大会で発表)。また、ゲームの成績と集中力の関係を解析し、前頭部から計測した脳波の全帯域における振幅が高いほどゲームの成績が高くなる傾向があることが分かった(2024年7月第47回日本神経科学大会で発表予定)。
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