日本国内および米国での共通重要項目から設定した知識項目に対して①知識の有無、②授業からの知識の取得、③知識の情報源、④知識の自己評価の10段階評価、を医療・健康系学部及び国際教養学部の新入生に調査した。1562人中549名が回答し、回収率は全体で35.1%、医学部54.4%、医療看護学部30.9%、保健看護学部70.9%、理学療法68.6%、診療放射線24.8%、スポーツ健康科学部26.2%、国際教養学部20.4%、うち男性192名(35%)、女性353名(64.3%)、非公開4名(0.7%)であった。少なくとも10%は、大学入学前に29トピック中11トピックを授業で学んでいないと回答し、特に性に関する知識とその情報源に偏りと性差が見られた。多数が情報源として教師を挙げているが、アレルギーについては男性63%、女性68.3%が教師から情報を得ており、インターネットからの情報取得率は男性51.6%、女性41.1%であった。特に女性の基礎体温の測定に関する知識が男性で低く(男性66.7%、女性41.4%)、LGBTQIA+に関するトピックでは男性の知識の自己評価レベルが女性よりも低いことが明らかになった。本研究の結果から、保健知識、特に性的健康に関する知識の不足と信頼性の低い情報源への過度な依存が明らかになった。大学における早期の保健教育と認識向上の取り組みが必要であり、性別に関らず健康知識の平等性が重要であると考えられる。また、現行の教育・大学入学システムでは、保健教育は必ずしも重視されておらず、誤情報の拡散や性的健康の性差の増大に寄与する可能性がある。したがって、大学入学後に保健知識の補完教育を導入する取り組みが必要であると考えられ、これにより、情報を適切に選別できる医療者を育成、ひいては健康な社会の構築に寄与することが期待される。
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