研究課題/領域番号 |
18K13264
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
菊 雅美 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50714127)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | UAV測量 / 教材開発 / ゲーム教材 |
研究実績の概要 |
実務では最新の測量技術が次々に導入されている.岐阜工業高等専門学校では,実践的技術者の養成を掲げている.環境都市工学科(以下,本学科)を卒業した学生が現場で活躍していくには,社会が求める最新の測量技術について学ぶ機会を提供することも重要である.一方,本学科では時間的・経済的制約から,授業・実習の時間内にUAV 測量を習得するための十分な機会を与えられていないのが現状である.このような状況において,学生がUAV測量について学ぶには,効果的に学習を進められる教材が必要である. 一方,現在,教員が一方的に知識を伝達する一方向型の講義形式から,学生が能動的に学習するアクティブラーニングへの転換が求められている.学習内容への理解度を深めるための取り組みとして,デジタルコンテンツの導入も進められており,その一つとしてゲーム教材が着目されている.ゲーム教材は学習意欲を高めるだけでなく,知識の定着においても効果的とされている.ただし,座学と実習が基本となる測量学において,ゲーム教材の効果は不明である. そこで,本研究では,UAV測量を効果的に学習するためのゲーム教材を開発した.そして,開発した教材を本学科の学生に利用してもらい,利用者へのアンケート調査や理解度チェックの回答状況から,開発した教材を評価した.その結果,RPG形式で開発した本教材で学んだ場合,一方向型の講義に比べて学生は意欲的に学習に取り組み,学習内容への理解度も高いことがわかった.ただし,ゲームのストーリー性が特徴のRPG教材は,試験勉強として利用しづらいことも明らかになった.そのため,本教材は,UAV 測量の啓発やUAV 測量に関する知識の導入として活用することが効果的とわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UAV測量について学ぶRPGゲーム教材を開発し,学生に実際に利用してもらうことでその効果を図った.また,利用者の意見を踏まえて,教材の改良を行った.これらの成果を土木学会論文集Hに投稿し,掲載された.これらの点においては,順調に研究を遂行できている. 一方で,当初の研究計画では,2020年度にUAV測量の実習を授業に取り入れる計画だった.しかし,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,岐阜工業高等専門学校では1年間,ほぼ遠隔授業となり,当初予定していたUAV測量の実習を行えなかった.そのため,研究期間を1年間延長した. 最終年度となる2021年度は,対面授業を実施できる予定であることから,学生にRTK-UAV測量について学んでもらう機会を提供する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,実社会の最新動向に適応できる実践的な技術者の育成を目指し,最新の測量技術を習得するための汎用的な教材を開発すること,さらに,得られた測量結果を学内のみならず一般への啓発にも活用することを目的としている. 『最新の測量技術による計測・解析方法の確立』:岐阜工業高等専門学校環境都市工学科第4学年の授業「空間情報工学」にてRTK-UAV測量を実施する.UAVの飛行ルール,飛行計画,画像撮影,3次元点群作成までの一連の過程を学生に習得してもらう. 『一般への測量技術の啓発活動』:2021年7月17日(土)に小学校中学年以上対象の公開講座を実施する.GNSS測量の基になる人工衛星から得られる位置情報を使い,校内に散らばったキーワドを探してもらう.また,UAV測量のデモも行う.GNSS測量およびUAV測量について学ぶための小学生・中学生向け教材を作成する.
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次年度使用額が生じた理由 |
学生が解析を行うPCの購入代金に充てることを想定していたが,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,岐阜工業高等専門学校では2020年度のほとんどが遠隔授業となり,実習そのものを実施できなかった.PCの性能は日々進化するため,使用直前に最新のPCを購入すべく,令和2年度はPCを購入しなかった.
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