研究課題/領域番号 |
18K13265
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川端 光昭 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (40795176)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公共交通 / 地理教育 / 授業開発 / モビリティ・マネジメント / 意識構造分析 |
研究実績の概要 |
(1)地理と土木が連携した授業実践と検証:地理教員との連携によりデザインした授業を実践するとともに,その授業成果について検証した.具体的には,モビリティ・マネジメント教育(MM教育)を題材とした授業設計と実践であり,その実践の成果より,土木技術者の育成と公民的資質の涵養双方に貢献できる点,街づくりをより実社会のやり方に即して学習することができる点を確認した.本成果を国内学会および国内学会誌(日本地理学会E-journal GEO)で発表した. (2)ローカル鉄道事業者を対象とした調査:MM教育において地域のステークホルダーと協働することが不可欠であるとの認識のもと,全国のローカル鉄道96社を対象としたアンケート調査を実施し47社より回答を得た(回収率49%).調査の結果,利用促進や地域活性化などに向けて,半数を超える事業者が高等教育機関との連携意向を示すことを確認した.詳細な結果をとりまとめ,国内学会誌への投稿を準備中である. (3)自治体を対象とした地域公共交通確保に関する調査:官民協働による地域公共交通のマネジメントに役立つ知見を得ることを目的に調査を実施した.その結果,おおよそ半数の自治体が,公共交通事業をタクシー事業者に委託しており,タクシー事業者の参画が進んでいることがわかった.しかし,事業委託による運転士増等の雇用創出効果は限定的であること,委託事業者との情報共有が不十分な自治体が多いことが明らかとなった.先行事例の分析を通して,持続的な公共交通網形成には,タクシー事業者の経営資源を有効活用することの重要性を確認した.さらに,タクシー事業者の経営体力を十分に情報共有・理解し,実行可能な公共交通サービスを官民協働で制度設計するプロセスが不可欠であることを指摘した.本成果を国内学会誌(日本地理学会E-journal GEO)に投稿し掲載が決定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画から調査対象を一部変更しているが,今後の授業設計における基礎資料の収集として,交通事業者および自治体の交通政策担当者を対象としたアンケート調査を実施し,一定の知見を得ている.また,本格的な地域課題解決型授業のデザインに先立ち,試行的に地理教員と連携した授業を実践,その成果を検証し課題を整理した.これらの成果の一部は学会誌にすでに発表済(あるいは掲載決定)であり,概ね順調に進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の調査データおよび授業実践の成果の分析を進める.並行して,先進的取り組みをしている詳細調査対象事例を選定し,追加的な調査を実施し,一般科目と専門科目が連携した地域課題解決型授業の開発に向けた基礎資料を整備する.そのうで,授業カリキュラムの具体的設計に着手する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究全体として概ね順調に進展しているが,アンケート調査の手法を見直し低予算で実施できたことなどにより次年度使用額として繰り越すことになった.使用計画については,先進地の調査費用に充てることを見込んでいる.
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