本研究では、関係が長く続くことの期待が他者の行動の理解の仕方にどのような影響を与えるかを探った。本研究で明らかとなったのは、「『人間関係が長く続く』と期待する人たちはそうでない人たちよりも他者の反社会的行動に注意を向け、積極的に情報を処理する」ということである。このような注意傾向は他者の行動の理解の仕方と関連することが議論されており、特に「その人が悪いことをしたのは、状況や環境のせいだ」と外的要因に帰属する日本人の心的傾向を説明できる可能性がある。本研究は、「人間関係が長く続く」という日本の社会環境の特徴が、人々の他者の行動理解の仕方に影響しうることを示した点で重要な研究である。
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