本研究で今後取り上げていく萌芽技術を選定するために、調査を実施した。 調査では、まず現時点において社会的な認知度や関心度が比較的高いとされている萌芽技術等を取り上げて2つの調査を実施し検討した。 1つ目の調査では予備調査として大学生を対象に、10個の萌芽技術に関して、各技術に対するリスク認知、主観的知識量、客観的知識量、技術者や組織への信頼感等の測定を行った。その結果をもとに、情報分野に関する萌芽技術は、リスク認知や主観的知識と客観的知識の知識水準に関して、本研究課題で取り上げるのに適した性質をもつ可能性が示唆されたため、今年度は当該分野の技術を取り上げて検討をすることとした。 2つ目の調査では、情報分野の4つの技術(人工知能(AI)、機械学習、自動運転、仮想現実(VR))を取り上げ、幅広い年齢層の一般市民を対象としたWEB調査を実施した。調査では、各技術へのリスク認知、主観的知識量、客観的知識量、リスク管理にかかわる組織への信頼感、関心等を測定した。調査結果からは、人工知能、機械学習、仮想現実の技術においては、主観的知識と客観的知識がいずれもリスク認知を抑制する効果が確認され、その効果は両方の知識水準がともに高い場合に最も低減される可能性が示唆された。しかし、自動運転に関しては、知識量の効果は信頼感の効果を調整する働きのみが確認され、信頼感がリスク認知を抑制する可能性が示唆された。
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