研究課題/領域番号 |
18K13274
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
高木 彩 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (30532395)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 萌芽技術 / リスク認知 / 感情 / 知識 / 人工知能 / 自動運転 / 仮想現実 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
2018年度に引き続き、2019年度も情報分野の4つの萌芽技術(人工知能(AI)、機械学習、自動運転、仮想現実(VR))を取り上げ、そのリスク認知を規定する要因について検討を行った。2019年度は、「萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連」を明らかにすることを目的として、2つの調査研究を実施した。 1つ目の調査では、大学生を対象に予備的検討を行った。この調査では、各萌芽技術に対するイメージ(連想語)と感情要因(ポジティブ感情、ネガティブ感情)等を測定し、萌芽技術のリスク認知との関連を検討した。その分析結果からは、萌芽技術に抱くポジティブ感情が弱く、ネガティブ感情が強いほど、萌芽技術に対するリスク認知が大きい傾向にあることが示唆された。それに加え、畏怖感情(dispositional awe)の得点が高い人ほど、萌芽技術のリスクを大きく認知する傾向にあることが示唆された。 以上の予備的検討の結果を踏まえ、次の研究では、より幅広い年齢層の一般市民を対象としたWEB調査を実施した。この調査では、萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連をさらに詳しく検討するために行った。主な調査項目として、4つの萌芽技術のリスク認知、ベネフィット認知、受容態度に加え、感情要因として、対象技術への感情(ポジティブ感情、ネガティブ感情)と、個別の感情経験(畏怖、嫌悪感情など)の個人差要因を測定した。現段階では、調査を実施しデータの収集まで完了しており、これから分析に着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報分野の萌芽技術に対するリスク認知の心理的基盤に関して、2019年度は感情要因(対象技術への感情、個別の感情経験の個人差)に焦点を当てた実証的な検討を行うことができたため、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、2019年度の本調査データについて分析を進めることにより、萌芽技術のリスク認知における感情要因の影響を実証的に検証し、その成果公表をおこなっていきたい。 今後は、このような実証的データの分析を通じて、今後は感情要因の中でも、対象技術に抱く感情と、個別感情(嫌悪や畏怖など)の感情経験の個人差要因が、それぞれどのように萌芽技術のリスク認知やベネフィット認知、受容態度等に影響を及ぼすのか、理論的な整理も進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
WEB調査委託料が予定よりも安価であったために残額が生じた。この残額については、次年度のWEB調査委託料、あるいは統計解析ソフトの保守更新費用等に充当したいと考えている。
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