前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策に資する萌芽技術に焦点を当てて検討を行った。具体的には、COVID-19対策に資する先端科学技術として、一般の人々にとって先端科学技術の知名度と受容形態(技術の受容において個人が直接的に関与するか否か)が異なる接触確認アプリ(COCOA)、健康観察アプリ、下水サーベイランスの3つを取り上げ、それらの規定因に関して感情要因をはじめとする心理的要因との関連を明らかにすることを目的として実施した。 調査は令和4年1月に全国の20代~60代の成人男女を対象に実施した。調査では対象技術に関する説明文章を提示した後に、対象技術への感情、リスク認知、ベネフィット認知、性能への信頼感を測定し、最後に感情経験に関わる個人差要因(畏怖、嫌悪感、穢れ忌避)を測定した。 その結果、全ての技術において、対象技術についてネガティブ感情をもつ程度が高いほどリスク認知が高い関連が確認された。また、日頃様々な事柄に畏怖の感情を経験しやすい人ほど、対象技術のリスク認知が高くなるという正の関連も、弱いが確認された。また穢れ忌避の傾向については、穢れ忌避の傾向が高い人ほどCOCOAのリスク認知が高いという弱い正の関連が認められた。以上の結果から、弱いながらも畏怖のような個別感情もまたリスク認知に関連することが示唆された。
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