研究課題/領域番号 |
18K13278
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
高林 久美子 東京女子大学, 人間科学研究科, 研究員 (70804516)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 社会心理学 / 社会的認知 / 家庭と仕事の両立 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
1. Web調査の計画ならびに実施(研究1) 未婚者を対象に、家事と仕事の役割葛藤と家事育児と仕事の両立(志向)の関連性について調べるための基礎的データを収集するWeb調査を実施した。調査回答者は、調査会社にモニター登録のある未婚男女1000人であった。性別(男・女)×年齢(23歳~32歳・33歳~42歳)が各250名となるように調査会社に依頼した。調査では、結婚し子がいたと想像した場合の役割葛藤(時間葛藤・ストレス葛藤・行動葛藤)予測、両立志向を測定するための家事育児志向度、仕事志向度のほかに、それらに影響する変数として、職の有無、多重役割負担感(同時に複数の役割を担うことの負担感)、両立困難度の認知、理想のライフコース、家庭役割と仕事役割についての特性認知(作動性、共同性)、昨年度の年収などについて尋ねた。現在データを分析中であるが、これまでの分析から、1)男女ともに仕事志向より家庭志向のほうが強いこと、2)女性のほうが男性よりも時間とストレスの葛藤が強いが、行動葛藤は弱いこと、3)両立志向が強いことが必ずしも役割葛藤を高めることにつながらないことが分かっている。今後は葛藤が両立志向に及ぼす影響について分析を進める予定である。分析結果については本年度の学会大会(日本社会心理学会第60回大会)で報告予定である。 2. 家事育児と仕事の関係性の認知を操作した実験の準備 家事育児と仕事の関係性の認知を形成した後に両立志向度がどのように変化するかを検討する実験の操作方法について検討した。本年度は、特に言語情報による操作の具体的な手続きについて検討した。手続きについてはほぼ確定しており、すでに実施する準備は整っている状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたよりも倫理審査に時間を要したため、研究1(Web調査)の実施が年明けになってしまった。研究2は、研究1の分析結果を見たうえで、具体的な操作の手続きを検討する予定であったため、結果的に昨年度中に研究2を実施することができなかった。ただし、言語情報による操作案については現在検討済みであり、実験が実施できる準備はほぼ整っており、早急に実施したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究2については、家事育児と仕事の関係性認知を言語情報によって操作する実験を実施した後、操作方法を変えて(ポスター呈示による操作を用いて)概念的追試を行う予定である。ポスターの作成には時間を要する可能性があるが、毎月参加している研究会のメンバーから意見をもらいながら、実験刺激の作成に努めたいと考えている。実験後にはデータ分析を進め、学会や研究会での発表、学会誌への論文投稿の準備を進めたいと考えている。 家庭と仕事の関係性の認知が課題遂行に及ぼす影響に関する研究(研究3)についても、実験刺激を共有している研究会のメンバーから意見をもらいながら、具体的な実験手続きを検討し、研究3の実施を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2を実施することができなかったことに伴い、研究2で予定していた人件費・謝礼金が生じなかった。 旅費についても、国内の学会発表1件のみであったため、当初の支出よりも少なく済んだ。 研究2については、31年度に実施する予定である。また、研究2の一部についてはweb上での実施を検討しており、その分の費用が発生する可能性がある。
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