研究課題/領域番号 |
18K13279
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
下田 俊介 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (70622679)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自己肯定化 / 自己防衛反応 / 健康リスク情報 |
研究実績の概要 |
人は自己価値が低下する出来事(自我脅威)に直面した場合,自己価値を防衛,回復しようとする。このような自己防衛反応は,不適応行動を導くことが先行研究で示されてきた。近年,こうした不適応行動を低減するための方法として,自己価値の肯定(自己肯定化)を行う手法が注目されている。本研究課題の目的は,日本での効果的な自己肯定化の手法を開発し,検討を行うことである。 当初の計画では,2018年度に,日本での自己価値の特徴を把握,検討するための調査を行う予定であった。しかし,検討を進める過程で,先に,不適応行動を導く自己防衛反応に焦点をあてた実験的研究が必要であることが明確となった。そのため,2018年度は,3つの実験を実施し,「健康リスク情報」に対する自己防衛反応について検討した。具体的には,実験参加者に,スマートフォンの過度の使用と健康リスクに関する情報を提示し,その情報に対する自己防衛反応を測定する実験を行った。自己防衛反応の程度を示す従属変数として,行動改善意図(スマートフォンの使用程度を減らそうと思う程度),および,合意性推定(他者も自分と同程度に健康リスク行動を行っていると考える程度)を測定した。 その結果,スマートフォンを使用する程度が高い人ほど,行動改善意図を低く報告し,当該の健康リスク情報を受容し難い傾向がみられた。これは,健康リスク情報に対する自己防衛反応が不適応行動を導くことを示す結果である。さらに,それらスマートフォンの使用程度が高い人が,自己肯定化を行った場合,行動改善意図が高まることが示された。また,その際に特に効果的であった自己肯定化の内容は,家族や友人などの対人関係に関するものである可能性が示唆された。一方,合意性推定を従属変数とした結果では,自己防衛反応を示す結果が得られず,測定方法の改善の必要性など,いくつかの方法的な問題点も明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,初年度に効果的な自己肯定化の手法開発のために,日本での自己価値の特徴を把握,検討するための調査を行う予定であった。しかし,検討を進める過程で,その調査よりも先に,不適応行動を導く自己防衛反応の過程に焦点をあてた実験的研究が必要であることが明確となった。そのため,研究実績概要に記載したように,自己防衛反応として,健康リスク行動に従事している人ほど,当該の健康リスク情報を受容し難い傾向に焦点をあてた一連の実験を行った。その結果,効果的な自己肯定化の手法開発のための重要な示唆が得られた。このように当初の計画とは検討順序が幾分異なったが,次年度に向けて十分な成果が得られたと考えられるため,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,引き続き,不適応行動を導く自己防衛反応の過程に焦点をあてた実証研究を行い,さらに,初年度に実施予定であった日本での自己価値の特徴を把握,検討するための調査を行う予定である。これらの実証研究から得られた結果をもとに,最終年度で,効果的な自己肯定化の手法の開発と検討を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度,実施予定であったweb調査を次年度に実施することに変更しました。そのため,次年度使用額は,そのweb調査を行うために使用します(web調査会社への調査委託費として使用予定)。
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