研究課題/領域番号 |
18K13284
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
原田 知佳 名城大学, 人間学部, 准教授 (00632267)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ASDグレーゾーン / 他者感情推測 / 小集団 / 発言抑制 / RMET / 社会的感受性 |
研究実績の概要 |
昨年度までの研究成果より、他者感情推測が苦手な学生は、そうでない学生と比べて、小集団活動時のサポート要求として「相手の意見を否定しないというルール」の導入要求が特徴的に示されることが確認された。ただし、これらの知見は自由記述結果をもとにしたものであり、本人が気づいていないサポート環境など、自由記述では測定できない部分が検討できていなかった。そこで、本年度の研究では、小集団活動時に発言しやすい環境に関する項目を作成した上で、他者感情推測能力の高低によって発言しやすい環境が異なるか否かを検討した。その結果、他者感情推測が苦手な学生は、得意な学生と比べて、傾聴が促される環境下で発言がしやすいと感じていることが確認された。ASD者は自分自身の能力不足や失敗への不安を感じやすいことから、安心して発言できる環境がASDグレーゾーン者の良好なパフォーマンスに繋がる可能性がある。 また、昨年度までの研究成果より、ASD傾向が高いほど小集団活動時の発言量が少ないことが確認されていたため、なぜ発言が抑制されるかについての検討を行った。その結果、ASD傾向が高い者は、小集団活動時に、自分のスキル不足により発言できないと認知しているわけではなく、相手と距離を保つために発言しないと認知している傾向があること、また、相手に配慮した発言抑制ができない(≒相手に配慮せずに発言をしてしまう)と認知していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生を対象とした調査・実験が順調に進んでおり、企業での調査、中学校現場での調査、の実施体制を整えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
社会的感受性と自己制御が集団パフォーマンスに及ぼす影響に関する実験データについては、データ入力が終了したため、実行機能の働きを踏まえた検討を行う予定である。また、大学生を対象に行った研究成果が一企業においても当てはまるか否かの検討を行うため、企業現場でのデータを収集し、検討する。さらに、中学校現場におけるASDグレーゾーンの子たちにも有効なサポートに関する調査も実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者の妊娠により、年度計画内容に一部変更が生じ、次年度以降に金額を残す必要があったため次年度使用額が生じた。次年度以降に、実験参加者への謝金、データ入力・表情コーディング等の研究補助謝金、データ収集にかかる交通費、学会報告等に使用する。
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