研究課題
1)社会的感受性と自己制御が職場におけるパフォーマンスに及ぼす影響を検討するため、企業現場でデータを収集した。分析の結果、大学生対象の実験で一時的に形成される小集団の場合と、企業における継続的なチーム集団を対象とした場合とでは影響過程が異なり、心理的安全性や上司のマネジメント、チーム内コミュニケーションや目標協働といった他の変数が社会性変数とパフォーマンス指標との間を調整している可能性が示唆された。現在、さらなる分析を進めている最中である。また、チームにおけるリーダーとフォロワーの目標遂行行動については、互いの特徴を補い合う形で自己制御行動をとることが優れたパフォーマンスにつながる可能性が確認された。2)これまでの研究結果より、ASD傾向が高い学生は安心して発言できる環境が良好なパフォーマンスにつながる可能性があること、相手と距離を保つために小集団活動時に発言を抑制する傾向が確認されていた。一方で、近年、ASD傾向の高い女性の希死念慮、自殺未遂、自殺率の高さが懸念されはじめてきている。学校現場で実施できる自殺予防プログラムGRIPは、自殺予防への効果だけでなく、グループワークを活用することで、学級への所属感や級友に対する話しやすさ、クラス全体の良好な雰囲気につながることが確認されている。このことから、女子中学生を対象に、自殺予防プログラムGRIPを実施することで、自殺予防や学校での級友の間での発言のしやすさに繋がる可能性を検証した。分析の結果、ASD傾向が高い生徒への効果は明確には示されず、集団教育に加えて個別対応の必要性が示唆された。3)社会的感受性と自己制御が集団パフォーマンスに及ぼす影響について、大学生を対象に、実行機能の働きがどう関与するかを検証した。当該結果については現在分析中である。
2: おおむね順調に進展している
企業現場や中学校現場でのデータ収集および分析が進んでいるため。
企業現場で収集したデータのさらなる分析、実行機能が集団パフォーマンスに与える影響過程を明らかにするための分析を進める。コロナ禍により、大学生を対象とした小集団実験の実施が難しくなってきているため、VRの活用や実施方法の見直し、また現在あるデータの詳細分析によって対応を考慮した上で検討を進める予定である。
2019年12月21日~2020年12月22日まで育児休業中であったこと、またコロナ禍により、集団実験の実施が即座に行えなかったため。状況を見ながら必要に応じ分析等の費用に充当していく予定である。
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Japanese Psychological Research
巻: 64 ページ: 64~72
10.1111/jpr.12314
巻: 62 ページ: 116~130
10.1111/jpr.12266