研究実績の概要 |
平成30 (2018) 年度は、アメリカと日本における代表性の高いデータの2次分析を行い、都市居住者率の高さと幸福感の高さがどのように関連しているかを検討した。アメリカ人については、1972年から2014年の間に行われた総合的社会調査(General Social Survey; N = 54,851)のデータを使用し、日本人については、2000年から2012年の間に行われた日本版総合的社会調査(Japanese General Social Survey; N = 21,501)のデータを使用し、それぞれの幸福感に関する設問を分析した。これらのデータに、国際連合(United Nations, 2018)が公開・頒布しているアメリカと日本における年次ごとの都市居住者率のデータを結合した。その結果、アメリカでは仮説通り、都市居住者率の高い年次ほど幸福感が低かった。一方で、日本でもやはり仮説通り、都市居住者率の高い年次ほど幸福感が高かった。さらに、データが年次ごとに集計されているという問題を考慮し、マルチレベル分析を行ったところ、回答者一人ひとりの性別や年齢を考慮してもなお、同様のパターンが認められた。これらの分析結果は、アメリカにおける都市居住は幸福感の低さと関連しているのに対して、日本における都市居住は幸福感の高さと関連していることを示唆している。こうした研究成果について、日本社会心理学会第59回大会、ならびに日本心理学会第82回大会にて報告を行った。現在は、査読付き論文の出版に向けた執筆作業を進めているところである。
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