研究実績の概要 |
令和2 (2020) 年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により新たな調査を開始できなくなったため、研究計画を大幅に変更せざるを得なかった。そこで、北米と日本において公開されている2次データを分析することにした。第1に、1972年から2018年に行われた総合的社会調査 (General Social Survey) に回答した北米人60,054名、および2000年から2012年に行われた日本版総合的社会調査 (Japanese General Social Survey) に回答した日本人21,501名の幸福感に関する設問を分析した。第2に、第1回から第7回までの世界価値観調査 (World Values Survey) に回答した北米人12,923名、および日本人9,248名の幸福感に関する設問を分析した。その結果、2つの社会調査に共通して、北米では、都市居住者の割合が高い年ほど年平均の幸福感が低かった一方で、日本では、都市居住者の割合が高い年ほど年平均の幸福感が高かった。第3に、2018年総合的社会調査に回答した北米人2,344名、および2012年日本版総合的社会調査に回答した日本人2,316名を分析対象として、居住地の規模と幸福感の関連を分析した。その結果、北米では、都市居住者ほど幸福感が低かったのに対して、日本では、都市居住者ほど幸福感が高かった。これらの分析結果は、前年度までの研究と同様に、北米の都市居住者は地方居住者よりも幸福感が低く、日本の都市居住者は地方居住者よりも幸福感が高いことを示唆している。こうした研究成果について、日本心理学会第85回大会、ならびに日本社会心理学会第62回大会にて報告を予定していると同時に、査読付き論文の出版に向けた執筆作業を進めている。
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