研究実績の概要 |
令和4 (2022) 年度は、以下2つのプロジェクトを推進した。第1に、日本における居住地の都市度と人生満足度の関連を検証した。研究1では、日本版総合的社会調査の回答者12,494名 (女性53.7%;平均52.26±16.80歳) のデータから、いくつかの個人属性を統制してもなお、居住地の都市度が高いほど人生満足度が高いことを報告した。研究2・3では、調査会社による回答者1,600名 (女性50.0%;平均48.55±11.63歳) とクラウドソーシングによる回答者510名 (女性50.6%;平均42.96±10.04歳) の調査データから、研究1の結果を再現しただけでなく、関係流動性の高さが居住地の都市度と人生満足度の関連を媒介することを報告した。研究4では、クラウドソーシングによる参加者177名 (女性54.2%;平均41.60±10.52歳) を対象に、居住地の都市度を操作する実験を行った。これらの結果は、日本の都市居住者が、地方居住者よりも高い関係流動性を経験することで人生満足度を高めることを示唆している。第2に、幸福感研究において最も普及しており、本研究課題でも使用している人生満足度尺度 (Diener et al., 1985; 大石訳, 2009) の日本における構成概念妥当性を検討した。研究1は調査会社を通じた1,984名 (女性52.9%;平均50.26±14.40歳) のデータであり、研究2は同じく10,165名 (女性51.1%;平均46.08±18.50歳) のデータであった。本結果は、日本語版人生満足度尺度の1因子構造、性別・年代・地域による測定不変性、6週間後の再検査信頼性、ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性および自尊心からみた収束的・弁別的証拠を支持している。上記2つの成果について、学会発表を行った上で査読付き雑誌での出版を目指している。
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