本研究では、大きく2つの研究成果を見いだした。 (1)幼児期(3~6歳)の子どもが示す「わからない(DK)」反応の実態およびその年齢的変化の背後にある認知メカニズムについて明らかにした。特に、DK反応は年齢が上がるにつれて低下すること、その背後に「推測の自覚化」メカニズムがあることが示唆された。 (2)成人期(おおよそ20歳ごろ)の自己と他者の感情推測におけるDK反応の頻度とその背後にある主観的意味の違いについて明らかにした。自己と他者を認識的に区別できるからこそ「他者感情はわからない」という反応が生じること、自己におけるDK反応と他者におけるDK反応ではその意味が異なることが示唆された。
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