研究実績の概要 |
Strange Situation Procedure(以下SSP)は,幼児が母親との関わりの中でストレスを沈静し安心して外界へ探索しているかという「アタッチメントの安定性」を評価する方法である。SSPは世界中で標準的に使用され,幼児のメンタルヘルス発達の理解に大きく貢献してきた。しかし,日本の幼児のアタッチメント安定性の分類の割合は,欧米の幼児の分類の割合とは異なる先行研究の結果が示された。本研究の目的は,(1)日本でまだ検証されていない2つのSSPの妥当性(『予測的妥当性』と『生態学的妥当性』)について検証することで問題点を明確にし,(2)日本の幼児のアタッチメント安定性を現状のSSPよりも正確に評定できる日本版の作成を行うことである。 2021年度は,全てのデータ収集とデータコーディングを完了し,論文執筆と論文投稿を行った。特に,データコーディングでは,より正確なアタッチメントの安定性を分類するために,ミネソタ大学のSSP評定のワークショップを主催している教授に,特に難しかったケースのコーディングをお願いした。論文は発達全般を扱うジャーナル(Child Development, Developmental Psychology, 等)に投稿したが受理されなかったため,現在引き続き別のより発達の問題を扱うジャーナル(Development and Psychopathology, Infant Mental Health Journal, 等)に投稿している。また,2022年7月の国際学会(International Attachment Conference)の発表の準備を行った。特に,日本の貴重なSSPのデータをより詳細に海外の研究者に理解してもらうために,シンポジウムを企画していて,カナダとシンガポールの研究者との共同発表を実現させた。
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