研究課題/領域番号 |
18K13308
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研究機関 | 静岡福祉大学 |
研究代表者 |
小川 翔大 静岡福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (90805409)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自尊感情の変動性 / 友人関係 / 慰め / サポート / セルフコンパッション |
研究実績の概要 |
2018度は,2校の大学と1校の短期大学の学生241名の内,116名(有効回答率48.13%)を分析対象者として(1)知覚された自尊感情の変動性尺度の日本語版作成,(2)自尊感情の変動性が慰められた時の感情に与える影響の質問紙調査を行った。 尺度は,Howrd(2017)のPerceived Self-Esteem Instability measure(P-SEI measure)とChabrol et al(2006)のInstability of Self-Esteem Scale(ISES)を邦訳して検証した。結果,P-SEI measureのみ十分な信頼性と妥当性が得られた。 質問紙調査は,Web上で複数回測定した状態自尊感情の標準偏差と,P-SEI measureの得点を自尊感情の変動性指標とした。そして,協力者は親しい友人から言語的(励ましの言葉かけ),非言語的な慰め(何も言わずにそばに寄り添う)を受けるシナリオを読み,場面を想像して慰められた時の感情を評定した。慰められた時の感情を従属変数とした階層的重回帰分析の結果,非言語的な慰めを受けた時の友人への感謝は,友人との親密度,シナリオ状況の認知,特性自尊感情,セルフコンパッションの影響を統制していても,状態自尊感情の高さと変動性の交互作用が有意となった。単純傾斜の分析は非有意であったが,グラフは逆方向の交互作用を示しており,自尊感情が高くて安定した場合と低くて不安定な場合は感謝の得点が高くなる傾向があった。さらに詳細な分析を行う必要はあるが,慰めを受ける人の自尊感情の高さと変動性の組み合わせにより慰め効果が異なることが示唆された。 2019年度は,協力者の自尊感情の高さと変動性の組み合わせで群分けを行い,抽出したサンプルに面接を実施して,友人から慰められる経験や後の心理的変化を質的に分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度に実施した研究では,必要としていたサンプル数のデータを確保することができた。しかし,7日間毎日回答する調査での脱落者が多く,当初の予定よりもデータの収集と整理に時間がかかってしまった。さらに,その後の謝礼支払い等の準備・連絡作業が一部難航して,時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は国際学会で得られた成果の発表を行う予定である(Society for Personality and Social Psychologyなど)。そして,2018年度に調査協力を得たサンプルから面接調査を実施する者を抽出し,2019年10月にはデータ収集を完了させて,分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は研究の進行に遅れが生じ、研究打ち合わせができなかった分の交通費が次年度使用額となった。2019度はその交通費も研究打ち合わせや調査依頼の際に使用する予定である。
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