研究課題/領域番号 |
18K13316
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 舞子 (野中舞子) 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 講師 (30791941)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 強迫性 / 衝動性 / 調査研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,児童・思春期の強迫スペクトラム障害を対象とした調査研究を行うことで,強迫性と衝動性の関係性の構造理解及び支援の発展に寄与することであった。今年度は2019年7月から2020年3月まで研究活動を中止していた期間があった。そのため,成果は限定的となるがここに報告する。 まず,今年度の目的の一つに,臨床評価研究の継続的な実施が挙げられる。昨年度に臨床評価研究の体制を整えたため,継続的に調査研究を行った。その結果,8例のデータを取得した。評価研究は,心理援助を求めて来談した者のうち同意を得られた来談者の臨床評価のデータを二次利用させてもらう仕組みであり,15件ほどが当初対象であったが,同意を取得し,臨床評価を終えたものは8例にとどまってしまった。また,年度末には新型コロナウイルスの流行もあり,研究実施場所である心理教育相談室に来談することが難しくなった対象者もいた。加えて,研究代表者が7月より休暇を取得したため,計画の見直しが難しかった。しかし,こうした難しい状況下であっても,複数のバッテリーを用いた評価研究を行うことができたため,次年度に活きる研究活動を行ったと考える。
また,もう1つの目的に,衝動性の問題を抱える強迫性障害の子どもを持つ親を対象とした支援のプログラムを開発することがあった。文献レビューは継続しているが,前節の通り臨床評価研究について検討が不十分であるため,現在作成中である。 以上のように限られた成果となったが,次年度では今年度の目的を達成することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度,申請者は産前産後の休業および育児休業を取得したため,7月以降の研究活動は自宅から実施できる範囲にとどまった。そのため,申請時よりも課題の進行は遅れている。なお,研究目的達成のための研究期間延長申請は終えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度実施できなかった2つの目的の達成を行うことを目的とする。第一に,臨床評価研究の継続及び,そこから得られる衝動性の問題を抱える強迫性障害の特徴理解が挙げられる。心理教育相談室が新型コロナウイルスの関係で休室が続いているため,すでにあるデータを見直し,バッテリーの見直しや仮説の生成を行ったうえで,再開後引き続き焦点を絞っての研究を行う。事例研究ないし評価研究の形で学会発表を行う。 第2に,文献レビュー及び事例研究を積み重ね,昨年度未完成で終わった衝動性の問題を抱える強迫性障害の子どもを持つ親を対象とした支援プログラムを開発する。強迫性障害に詳しい専門家の意見を聞きながら,オンラインでの心理援助の可能性も含めて,開発を進める。可能であれば,数名当事者の意見を聞き,内容の改訂を今年度は目指す。また,レビューの内容は今年度中に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度7月より2020年3月までの期間,申請者は産前産後の休業および育児休業を取得したため,研究活動を中断することとなったため,次年度使用額が発生した。 次年度は仕事に予定通り復職したため,継続的に研究を行い,今年度実施予定だった研究の達成を目指すこととした。
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