研究課題/領域番号 |
18K13316
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 舞子 (野中舞子) 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 講師 (30791941)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 強迫性 / 衝動性 / 調査研究 |
研究実績の概要 |
今年度は新型コロナウイルス感染拡大により研究計画の変更を迫られたため,以下の流れで研究を実施した。 まず主たる研究フィールドである東京大学大学院教育学研究科附属心理教育相談室が9月まで閉室していたため,その期間は文献のレビューを中心に研究を実施した。文献のレビューの結果,就学以前の幼少期の強迫性障害に対しても認知行動療法が有効であり,その効果はオンラインでも得られること,親子ともに来談することの有用性などが示唆された。レビューの内容は現在投稿中,修正の過程にあるため詳細の公表は論文受理後とする。しかし,レビューを終えたことで,研究の方向性が明確化した。 10月に心理教育相談室が開室した後は引き続きデータの収集と解析に務めた。データの解析作業自体が困難な状況下にあったが,追加のデータを含めて親子10組のデータが集まった。本研究の成果は令和3年度に学会発表予定であり準備を進めている。しかし,緊急事態宣言下では新規ケースの申し込みの中断を余儀なくされるなどの困難もあり,全般として研究計画に支障が生じた1年であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響で,主たる研究フィールドである心理教育相談室が閉室している期間が想定していたよりも長く,十分なデータを集めることができなかった。そのため,予定していた学会発表も令和3年度に延期することとするなど,全体としてスケジュールが遅れてしまった。一方で,文献の概観作業は終え,調査研究も一定の数集まる見込みもできるなど,徐々に研究の再開ができる状態にはなっている。
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今後の研究の推進方策 |
まず,現在進めている調査研究の例数を1例でも増やし,一定の示唆を得ることを目指す。その上で,本研究の主たる目標である強迫性と衝動性の問題に悩む親子への心理援助プログラムの開発を完成させるのが今年度の主たる目標である。 文献のレビューの結果,当初は親のみに介入するプログラムを開発予定であったが,親子ともに来談することで,強迫症状だけではなくその他の行動上の問題も改善することが明らかとなった。そのため,当初の予定を変更し,親子で参加できるプログラムを開発予定である。また,オンラインであっても対面と同程度の効果が得られるという先行研究も踏まえて,オンラインでの実施の可能性を探る。オンラインでの実施の場合,枠組みの設定が難しいため,対面とするかオンラインとするかも含めて,研究協力機関と相談しながら,まずは体制を確立することを今年度の夏までに目指す。 その上で,必要な倫理申請等を終え,秋以降に数例であってもパイロット研究を実施する。そこから得られた示唆をもとに,プログラムの完成をすることが今年度の目標である。 ただし,現在も新型コロナ感染拡大が続いているため,対面での新しいプログラムの立ち上げが難しい状況下にある。個人情報の保護や臨床評価の妥当性の問題も含めて,現在の社会情勢で実施可能なプログラムの形を検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で,学会参加を延期したり,オンラインで学会参加が可能となったため旅費が大幅に削減されたため,
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