研究課題/領域番号 |
18K13316
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 舞子 (野中舞子) 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 講師 (30791941)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 強迫性 / 衝動性 / こだわり / 幼少期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,幼少期の子どもが抱く強迫性の理解と支援にむけて,衝動性と強迫性の観点から支援の有効性について検証することであった。新型コロナウイルス感染拡大による研究計画の変更を迫られたが,オンラインによって幼少期の子どもの強迫症状やこだわりへの援助プログラムを開発し,その効果を検討しているところである。 2022年度は2021年度に引き続き,オンラインで実施可能な幼少期の子どもへの強迫症状への認知行動療法プログラムの効果検証を継続した。最終的に8名が事前・事後評価を終え,特にSDQとCBCLによって測定される行動上の問題や情緒の問題に改善傾向が確認された。しかし,これらの改善が自然な発達によるものかの検証が必要だと考えられたため,自然経過の中での同様の指標の変化と比較し,今後論文として投稿していく段階に入っている。また,こだわり行動や強迫症状への支援として掲げていたが,発達特性による困難さよりも感覚のアンバランスさや行動抑制システムの影響が大きいと想定される事例も散見された。研究を進める中で生じた,子どもの示すこだわり行動の背景要因の理解に向けた縦断調査について,3-8歳の子どもを持つ保護者を対象に実施(1時点,215名を回収済み),現在進行中である。 途中経過としてプログラムの開発内容と探索的な効果について,日本認知行動療法学会に公表した。また,具体的に経過を長期的に終えた1事例についての報告をアジア児童青年精神医学会(査読有,国際学会)に2023年度に行う予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
介入研究は大規模な無作為化比較試験のデザインの採用は難しく,2022年度中に成果報告を含めて研究を終えることができなかった。その点では研究はやや遅れていると考えられる。しかしながら,介入の安全性・有効性について一定程度のデータを得ることができ,研究を進める中で生じた新たな問いについて調査を実施することもできた。そのため,一定程度の成果は上げられたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究成果のまとめを行う。第1に,こだわり行動の背景にある不安や感覚特性の影響,それら背景要因によって表出される行動にどのような違いがみられるのかを,3-8歳の幼少期の子どもを対象とした縦断調査によって実施する。第2に,研究成果を学会誌に投稿する。本邦においては幼少期の子どもを対象とした調査研究は少なく,これら知見をまとめて公表することの学術的・社会的意義は高いと考える
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次年度使用額が生じた理由 |
介入研究から生じた問いを適切に調査研究として実施するために,縦断調査を実施する必要性があったため。次年度調査研究に経費を使用し,成果公表をすることで,使用を終える予定である。
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