申請者を中心とした研究グループは、妊娠届出書から得られた情報を用いて妊娠期DVを予測するスクリーニングツールであるIntimate Partner Violence during Pregnancy Instrument (IPVPI)の精度をより高めるために、妊娠訪問支援中の情報を加えてIntimate Partner Violence during Pregnancy Instrument Revised(IPVPI-R)の開発に向けてデータ収集を現在行ってきた。 2020年度には、IPVPI-Rを「DV予測装置、DV予測方法、及びDV予測プログラム」として知的財産権の出願を行なった(出願番号:特願2020-089105)。また、IPVPI-Rを保健師支援アプリ「そだつWA」に反映させた。東京都足立区では、保健師が妊産婦の支援時に「そだつWA」を利用している。初回妊婦面接時に、保健師は質問票や口頭で妊産婦の状況をアセスメントし、支援の必要性を判断している。IPVPI-R得点は、それらのアセスメント項目から算出され、妊娠期DVのリスクが判定される。そこで「そだつWA」にIPVPI-Rのアルゴリズムを追加した。さらに、「そだつWA」にはウェブ版もあるため(妊産婦の個人情報が含まれない)、保健師が簡単にIPVPI-Rを実施できるような構造に修正した。特許出願により、「そだつWA」への反映が遅延したものの、足立区における「そだつWA」の継続的な利用を通して、IPVPI-Rのリスク判定が、実際の妊娠期DVを予測できているか引き続き効果検証を行う。 上記の妊娠期DVの予測アルゴリズムも含めて、妊産婦のメンタルヘルス支援に関する研修を3回実施した。
|