研究課題/領域番号 |
18K13321
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
管生 聖子 立命館大学, 人間科学研究科, 嘱託講師 (50637139)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工妊娠中絶 / 周産期喪失 / 心理的ケア / カウンセリング |
研究実績の概要 |
妊婦健診時の超音波検査や,羊水検査,近年では母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査といった出生前診断が実施されているが,その結果の人工妊娠中絶については課題が議論され,適切な情報提供やカウンセリングが必須と言われている。心の専門家によるサポートが求められているが,臨床心理学領域では周産期喪失に特化したケアの実践研究や人材育成,その効果の評価が未発展である。そこで本研究では,出生前診断結果による人工妊娠中絶の心理ケア体制構築と実践のため,親に対して心理専門家が介入を行い、(1)人工妊娠中絶を経験した親の体験様式の現れの構造をとらえる,(2)退院後1ヶ月時の心理評価と検討,(3)退院後6ヶ月時の心理評価と検討,の3点について研究を計画した。1年目である平成30年度は心理評価をおこなうため質問紙配布の準備を行い、データ収集・整理を行った。 質問紙には二次元レジリエンス尺度,複雑性悲嘆尺度,改訂出来事インパクト尺度を使用し、心理士介入希望のニーズについても把握した。複雑性悲嘆尺度は通常6ヶ月以上経過した時点での評価が必要であることから,半年後に再度実施し評定値の推移を把握する。数件はすでに6か月後の状況について郵送にて回答を回収しているが、現在も継続して調査実施中である。 また、周産期喪失をした親へのカウンセリングを実施し、実践的にデータの蓄積を行い、スーパーヴィジョンを受けながら事例検討を行った。倫理的配慮を十分に行い研究を計画通り遂行し、日本質的心理学会で発表した。また、2年目の学会発表準備を行った。 適宜、多職種間での連携や研究協力者とのミーティングの機会を持ち、関連する研修や学会への参加を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、(1)人工妊娠中絶を経験した親の体験様式の現れの構造をとらえる,(2)退院後1ヶ月時の心理評価と検討,(3)退院後6ヶ月時の心理評価と検討,を中心とした3点の研究が進んでいる。 3年間の研究実施期間において予定しているデータの4割を収集できた。 また、国内外での学会発表も順調に実施・準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、質問紙調査を行いデータの蓄積を行う。また、複雑性悲嘆尺度については通常6ヶ月以上経過した時点での評価が必要であることから,評定値の推移を把握する。カウンセリング実践も継続して行い事例の蓄積を行い分析を進める。 2年目は第38回日本心理臨床学会での自主シンポジウム、日本心理学会第83回大会、第19回International Society of Psychosomatic Obstetrics and Gynaecologyで研究成果の発表を行い、国内外に広く研究成果を発信し、論文化作業も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を計画していた19th Congress of the International Society of Psychosomatic Obstetrics and Gynaecologyの開催地が、当初予定されていた韓国から、社会情勢によりオランダでの開催と変更され、旅費が予定よりも高額となる。そのため次年度使用が必要となったため。
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