研究課題/領域番号 |
18K13324
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松下 正輝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (30615935)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 取り繕い反応 / アルツハイマー病 / 症候学 |
研究実績の概要 |
今後日本はより一層の社会の高齢化が予想されており、近い将来、認知症がより身近な社会になると考えられる。そのため、認知症になっても幸せに生きられる社会を構築するために認知症の病態の解析は焦眉の急である。 認知症の認知症者では、生活上様々な破綻をきたしているにもかからわず、上手に場に合わせて、忘れてしまったことを覚えているように振舞う態度(取り繕い反応)がしばしば観察される。これまでに取り繕い反応については多くの記載があるが、そのほとんどは臨床家の印象や経験に基づいており、その症候学的意義は不明である。 そのため、本研究では、神経心理検査施行中にみられる取り繕い反応の疾患特異性を検討し、取り繕い反応の神経基盤について考察することで、なぜ取り繕い反応が生じるのかを明らかにする。また、取り繕い反応を文化間比較を行い、どのような応答が取り繕い反応であるかを明らかにすることを目的とする。 研究の進捗については、現在、日本国内における取り繕い反応に関するデータの収集が完了した。それらのデータを用いて解析を行い、アルツハイマー病の高齢者はレビー小体型認知症や軽度認知機能障害を有する高齢者に比べて、統計的有意に取り繕い反応がみられることが明らかになった。 それらの結果を科学学術論文(PLoS ONE)において報告し、ポルトガル・リスボンで開催されたAD/PD Lisbon, 2019: Alzheimer's & Parkinson's Diseases Congressにおいて発表した。 取り繕い反応に関する神経基盤については、MRIのデータの適格性を検討し、抽出を進めている。なお、台湾においてもデータを収集しており、現在5名のデータがストックされている。引き続き、データの収集行い、統計解析が可能となった時点で分析・検討を開始する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗については、現在、日本国内における取り繕い反応に関するデータの収集が完了した。それらのデータの一部を基に、英文科学誌で報告し、学会発表を行った。取り繕い反応に関する神経基盤については、MRIのデータの適格性を検討し、電子カルテより抽出を進めている。なお、台湾においてもデータを収集しており、現在5名のデータがストックされている。引き続き、データの収集行い、統計解析が可能となった時点で分析・検討を開始する。 以上のことから、当初予定した計画と同程度に順調に進捗しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、取り繕い反応に関する神経基盤を検討するため、MRIのデータを集積する。また、国際比較を行うため、現在行っている台湾でのデータ収集を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたMRIデータ保管用の記録ディスクを来年度以降に購入するため、自年次使用額が生じた。今後、MRIデータが蓄積されるに従い、データ保管用のメディアが必要となるため、来年度以降使用する予定である。
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