研究課題/領域番号 |
18K13326
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
酒井 美枝 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (80813120)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / アクセプタンス&コミットメント・セラピー / ACT / 集学的アプローチ / 補償を伴う選択的最適化理論 |
研究実績の概要 |
慢性疼痛患者の生活の質を向上させる心理的アプローチとして、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性が示されてきたが、身体機能の低下が著しい場合にどのように適応するか、という課題が残されている。本研究では、この課題の解決を目指して、①慢性疼痛患者に対して、暫定版のACTプログラムを実施し、その結果生じる適応過程について、行動レベルでの質的分析を行う、②その分析結果をもとに、幅広い病態の慢性疼痛患者に適用可能な改訂版プログラムを作成し、その効果について予備的検討を行う、ことを目的としている。さらに、それらの研究を通して、無作為比較試験によって改訂版ACTプログラムの効果検証を行う準備を整えることを目指している。 2018年度には、暫定版ACTプログラムを用いて、予備的単群介入研究を開始した。現時点で、幅広い病態の慢性疼痛患者13名に対する介入と、その後のフォローアップ面接を進行している。この予備的単群介入研究の途中経過については、「第48回日本慢性疼痛学会」や「日本認知・行動療法学会第44回大会」などの関連学会において研究報告を行った。また、本研究への参加が困難であった一部の患者には、プログラム内容を一部改変して介入を行った。その結果は事例報告の形で、関連学会での研究報告や論文化を行った。さらに、プログラムの運営に携わる共同研究者とともに、ACT専門家である学外の共同研究者を訪問し、暫定版ACTプログラムの実施状況について情報交換を行うと共に、知識提供を受けた。 以上の実績により、プログラムの改変事項の整理が進んでいる状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、暫定版ACTプログラムを用いて予備的単群介入研究を開始、実施している。目標人数にはまだ達していないが、継続的に症例数は確保できることが見込まれている。また、その過程でプログラムの改良点を継続的に検討することができている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度も、引き続き慢性疼痛に対する暫定版ACTプログラムを実施するとともに、適応過程に関する分析を継続する。目標人数に達したところで解析を行い、関連学会での発表や論文化を進める予定である。その今後は、改訂版ACTプログラムの作成・効果の予備的検討に移行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していた国際学会参加を取りやめ、次年度以降に参加することにしたため。また、データ解析用ノート型コンピューターや統計解析ソフトの購入は、研究参加の症例が目標人数に近づいた段階で購入を検討する予定である。
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