本研究は,統合モデルの構築を試み,4つの反応スタイルと媒介変数としてメタ受容が抑うつのプロセスに与える影響を明らかにし,将来の抑うつを予測する反応スタイルを特定する事を目的としている。2022年度は分析,考察を進め,2時点のデータを用いて反応スタイルが将来の抑うつに及ぼす影響について検討した結果を第86回日本心理学会について報告した。反応スタイルと抑うつの関係を検討したところ,否定的考え込み反応を多くする人ほど,4週間後の抑うつの程度が高いことが示された。また,回避的気そらし反応と問題解決的考え込み反応を多くする人ほど,4週間後の抑うつの程度が低いことが示された。考え込み反応および気そらし反応のそれぞれ2因子は,抑うつの程度に異なる影響を及ぼすことが明らかになったことから,反応スタイルを複数の因子で捉える必要性が示唆された。
|