研究課題/領域番号 |
18K13330
|
研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
平野 真理 東京家政大学, 人文学部, 講師 (50707411)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | レジリエンス / 介入プログラム / 多様性 / グループアプローチ / 臨床心理学 |
研究実績の概要 |
本課題の目的は、レジリエンス(ストレス状況における適応・回復力)を促進するための臨床心理学的介入において、レジリエンスを単に「高める」のではなく、自分なりのレジリエンスを「発揮する」ことを目指すアプローチを開発することである。 令和3年度は、前年度までに開発したアプローチを、全7セッションのグループワーク・プログラムの形式で試験的に実施した結果について、46名の参加者のデータ分析を行い、その適用性を検討した。 プログラムには、従来のレジリエンス・プログラムにおける課題であった、①個人ワークを通して自身のポジティブな資源に気づくことの難しさという問題に対して、投影法のワークを活用する、②グループ・アプローチに対する抵抗感を持つ人々への効果的な形式の模索という問題に対して、他者のレジリエンスの多様なあり方に触れるためのシェアリングを匿名のオンライン・ホワイトボードで非対面・非同時的に実施する形式でプログラムを構成する、という大きく2点の工夫が盛り込まれた。各セッションの振り返りの記述について計量テキスト分析を用いた検討を行ったところ、投影法ワークを通して自身の中にある社会的規範への気づきを得られること、シェアリングを通して自分と他者との違いに目を向けることができること、それらを通して自身のレジリエンスの承認と受容が促される可能性が示唆された。また、セッションの最後にグループワークを行うことが、他者への開放性と自身のレジリエンスの拡大につながる可能性が示唆された。 これらの結果について、学会発表および論文化を行った。またその知見を元に、個々人がセルフワークとしてプログラムに取り組み、遠隔でシェアリングを行うことができるためのワークブックとwebアプリケーションの開発を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、webアプリケーションの開発が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、ワークブックおよびオンデマンドで利用可能なwebアプリケーションを開発し、より多くの参加者からのデータを取得するとともに、効果検証を行う。また、それらの成果を学会・論文にて発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、昨年に引き続き対面でのフィールドトライアルが実施できなかったことにより、その実施のための物品購入、教材作成、研究補助者への作業依頼をすることができなかったため、その分の予算が未使用となっている。次年度は、ワークブック教材及びwebプログラムの開発にあたって必要な物品購入費、教材作成費、研究補助者への謝金、学会参加費を使用する予定である。
|