研究課題
2021年度には、過去3年間の研究の中で取得されたデータの論文化を行った。その結果、2020年度以前に投稿し、2021年度開始時には審査中であった2本の論文が採択された。このうち、The Journal of Psychologyに掲載された論文では、Go/No-Go課題、Stop Signal課題、およびConners Continuous Performance Testという3課題の成績によって構成された潜在変数である反応抑制の困難さが、ネガティブな出来事の経験頻度を増加させることを介して反すうを促すことが示唆された。また、Psychological Researchに掲載された論文では、Go/No-Go課題で測定された反応抑制の困難さが攻撃行動を増加させ、ネガティブな対人的出来事の経験頻度を増加させることを介して反すうを促す一方、修正Stroop課題で測定された注意の抑制の困難さは反すうと関連しないことが示された。以上の2つの結果から、反応抑制の困難さは反すうと関連する要因であることが示唆され、また、抑制機能は反応抑制と注意の抑制に分類可能であるという、抑制機能の階層モデルが一部支持された。また、2021年度には2020年度に取得されたデータをまとめた2つの論文を投稿した。このうち、1つの論文がCurrent Psychologyに採択された。この論文では、上記の2つの研究で取り上げられた変数間の因果関係について、縦断研究によって検討を行った。その結果、ベースラインで測定された攻撃行動は、その後8週間で経験されたネガティブな対人従属出来事(従属出来事とは、本人の行動や特徴が何らかの形で関与している出来事を指す)の増加と関連する一方、ネガティブな非対人従属出来事やネガティブな独立出来事とは関連しないことが示された。この結果は、論文化がなされた上記の2つの研究を補完する結果である。さらに、上記に加えて、2021年度に取得したデータをまとめた論文を執筆中であり、また、学会発表を行った。
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http://ahasegawa.com/