研究課題/領域番号 |
18K13337
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 典子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (90741421)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 集団認知行動療法 / うつ病 / 不安症 / 統一プロトコル / 診断横断的認知行動療法 |
研究実績の概要 |
本研究は「不安とうつに対する統一プロトコルによる集団認知行動療法の実施可能性と有効性の検討(若手研究B: 15K17319, 臨床試験登録: UMIN000023632)」を発展させて、うつ病と不安症の患者を対象とした評価者盲検ランダム化比較試験を実施して、統一プロトコル集団版 (Group Unified Protocol Psychotherapy: GUPPY)の有効性の検証を行うことを目的とする。 2018年度と2019年度には、2017年11 月に米国で出版された統一プロトコルの患者用ワークブックおよびセラピストガイドの第2版に合わせて、予備試験で作成した統一プロトコル集団版 (GUPPY)のマニュアルおよびマテリアルを改訂する作業を行なった。また、2019年にベルリンにおいて開催された9th World Congress of Behavioural & Cognitive Therapiesに参加し、本研究の予備試験に関する成果発表を行ない、米国、デンマークで実施された先行研究についての情報収集を行った。 2019年度後半から2020年度前半は、研究代表者の産前産後休暇と育児休業の取得に伴い研究を中断した。 2020年度は、covid-19の感染拡大により集団での認知行動療法の実施が困難であったため、オンラインでの集団認知行動療法の介入を安全に実施する上での課題や対応を明確にすることを目的として、文献や資料を収集した。さらに、それらの資料を参考に、オンラインでの実施における安全対策について整理した。 2021年度は、オンライン介入による臨床試験開始に向けて準備を進めたが、オンラインによる集団療法実施における個人情報漏洩のリスクが懸念されたため、臨床試験開始を中止した。中止後は、covid-19の感染防止対策の緩和も考慮して、対面介入による臨床試験開始に向けて準備を再開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度から2020年度の前半は、研究代表者の育児休業取得に伴い研究を中断した。2020年度は、covid-19の感染拡大により集団での認知行動療法の実施が困難であったため、臨床試験の開始を延期した。2021年度には、covid-19の感染防止対策と集団認知行動療法の有効性の検証を両立させるため、オンラインでの集団認知行動療法の臨床試験を開始する予定であった。しかし、オンライン介入の安全性について情報を収集する中で発覚した個人情報漏洩のリスクに対して、有効な対策を立てることが困難であったため、研究参加者の安全性を考慮してオンラインでの臨床試験を中止した。これらの理由により、当初の計画より進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、対面による集団認知行動療法のランダム化比較試験を実施する上で必要となるcovid-19感染防止対策について情報を収集して、具体的な対策を整備する予定である。それに加えて、2021年度に報告されたスペインとデンマークにおける統一プロトコルによる集団認知行動療法の大規模ランダム化比較試験の結果に関する情報収集を行い、介入プログラムの構成や内容をブラッシュアップすることで、ランダム化比較試験の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度には、covid-19の感染防止対策と集団認知行動療法の有効性の検証を両立させるため、オンラインでの集団認知行動療法による臨床試験を開始する予定であった。しかし、安全性について情報を収集する中で発覚したオンライン集団療法による個人情報漏洩のリスクに対して、有効な対策を立てることが困難であったため、研究参加者の安全性を考慮してオンラインでの臨床試験を中止した。そのため、臨床試験実施のための費用として計上していた介入補助の担当者の人件費・謝金および介入で用いる資材の購入のための物品費について、次年度使用額が生じた。 2022年度は、対面での集団認知行動療法のランダム化比較試験を行う際に必要となる感染防止対策についての情報収集およびランダム化比較試験準備と介入実施の補助者の人件費・謝金の使用を予定している。また、スペインとデンマークの研究についての情報収集のための学会参加費について支出予定である。
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