初年度では治療プログラムの作成、被験者のリクルート、プログラムの実施(1例)を行った。治療プログラムは、堀越勝(認知行動療法センター前センター長)や他の研究協力者とともに再度海外の文献等を照会し、児童青年期対象として被験者に理解しやしすいようイラストや文言の調整を行った。実施例では強迫症状及び不安症状の改善を認め、各評価尺度においてもプログラムに有益性があることを示唆する結果を得ることができた。 平成31年4月より研究者の異動が決まったため、平成30年9月以降は一旦リクルートを中止した。平成31年(令和元年)度、金沢大学附属病院にて倫理申請を行い、新たにプログラムの実施(1例)を行った。研究期間中、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言が重なったため、被験者のリクルートは困難であった。またプログラム参加中にコロナ感染への不安が惹起され、強迫症状の悪化の一因となった。 令和2年9月より研究者の異動があり、一旦リクルートを中止した。金沢大学附属病院にて再度倫理申請を行い、令和3年2月よりリクルートを再開した。リクルート再開後に複数の参加希望者から問い合わせがあったが、緊急事態宣言発令中であったことから参加を見送るケースがあった。家族の参加希望はあるが被験者の同意が得られないケースもあった。令和3年6月に3例目の被験者が研究に参加したが、家族同席のセッションを行った後、被験者のみのセッションに抵抗が強かったため、脱落となった。令和3年7月31日で被験者募集は終了した。 最終年度である令和4年度は、学会にて研究報告を行った。当研究参加症例の治療と評価尺度の経過を総括し、考察を交えて、第63回日本児童青年精神医学会総会でポスター発表を行った。金沢大学精神科神経科において研究結果を共有し、児童精神領域における不安症状・強迫症状に対する認知行動療法の理解を深めることができた。
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