研究課題/領域番号 |
18K13339
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大江 悠樹 杏林大学, 医学部, 助教 (40722749)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 認知行動療法 / 簡易型認知行動療法 |
研究実績の概要 |
本年度はIBS(Irritable Bowel Syndrome、過敏性腸症候群)に対する認知行動療法の有効性を検証するため、研究実施体制を整備するとともに、現所属機関において消化器内科など関係部署とミーティングを行った。その過程で、IBS症状のために消化器内科を受診している介入候補者に対し、当初予定していた毎週60分計10回の認知行動療法を精神科で実施するというのは、対象者の負担や心理的障壁が大きく、導入・完遂はかなり難しいだろうという専門家の意見が多数あがった。そこで再度先行研究を精査し、10週間の介入期間のうち4回の来院で実施可能なIBSに対する簡易型認知行動療法プログラム(Lackner et al.,2018)を参考に実施法を修正することとした。現在までに日本語版の翻訳者に連絡を取り、研究での利用許諾が得られている。 これを受け、マニュアルおよび各種マテリアルの修正を行った。作成された各種マテリアルは今後医療者向けに広く公開する予定であり、そこで得られたフィードバックをもとに、さらに有用な資材を作成、提供することができると考えられる。 なお、IBSに対する簡易型CBTプログラムの作成者であるJ. Lackner博士には研究協力依頼をしており、現在返答を待っている状態である。 各国のIBS治療ガイドラインでは認知行動療法が有効な治療として推奨されているが、我が国でその有効性を検証した研究はほとんど存在せず、実際に実施できる人材も不足している。従来より介入頻度の低い認知行動療法プログラムの効果が検証されれば、今後の治療体制の整備に資することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度より主たる勤務先が変更になり、大幅に研究体制を変更する必要が生じたことが主な要因である。また、研究実施施設の変更に伴い、当初予定していた介入手法を変更する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
当施設の消化器内科診療科長からはすでに研究協力の内諾が得られている。研究協力にあたって一番の懸念事項とされた、介入に伴う来院頻度の急激な増加に対応するため介入プログラムを修正した。また、新たに参考にする介入プログラムについては、すでに日本語版テキストの翻訳者から研究利用への許可が得られている。
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次年度使用額が生じた理由 |
介入プログラムの修正に伴い、介入用の資材を新たに作成する必要が生じたため、当初物品購入に充てる予定であった予算を新資材の作成関連費用に充てることとした。現時点ではまだ資料は完成していないため、次年度以降、印刷等のために使用する予定である。 また、主たる勤務先の変更に伴い、研究を補助する協力者の雇用計画に変更が生じたため。次年度は協力者が確保できており、その人件費として使用予定である。
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