研究課題/領域番号 |
18K13339
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大江 悠樹 杏林大学, 医学部, 助教 (40722749)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 認知行動療法 / 集団認知行動療法 |
研究実績の概要 |
本年度はIBS(Irritable Bowel Syndrome、過敏性腸症候群)に対する認知行動療法の有効性を検証するため、研究実施体制の再構築とプログラムの再検討を行うとともに、臨床試験も実施した。 研究実施体制に関しては、新たに京都大学医学部付属病院の協力を得ることができた。プログラムとしては、我々が以前日本語版を開発した「IBSに対する内部感覚曝露を取り入れた認知行動療法(CBT-IE)」を集団で実施可能な形に修正して用いることとした。そして京都大学医学部附属病院と共同で、IBS患者に対し、集団形式CBT-IEの通常治療に対する優越性を検証するランダム化比較試験を進めた。また、新型コロナウイルス感染の再拡大があったことから、オンラインでも実施できるよう資材を整えた。 IBSに対する低頻度の簡易型認知行動療法については、現所属機関における臨床実践の中での試行を続け、マテリアルの調整を行った。境界域の知能水準が疑われる患者に対する実践の中でも、IBS症状や生活の質の改善が認められた。昨年協力の内諾をいただいた近隣医療機関からは、新型コロナウイルス感染状況が落ち着いた際には再び研究に協力していただけることを確認した。加えて、新型コロナウイルス感染状況の見通しが立ちにくい状況が続いているため、オンラインでの実施も見据えて資材の作成を進めた。 これらを含む、IBSに対する認知行動療法研究のこれまでの取り組みについて、認知療法・認知行動療法学会のシンポジウムにて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度に主たる研究機関を変更し、大幅に研究体制を変更する必要が生じたこと、また昨年度に引き続き新型コロナウイルスの流行が収束せず、研究実施方法を見直す必要があったことが主な理由である。本年度は新たな研究協力機関を得られたことで、IBSに対する集団形式での認知行動療法の研究は進んだが、本来予定していた認知行動療法プログラムの研究は遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当施設の消化器内科診療科長、および近隣の消化器内科クリニックの院長からは、すでに研究協力の内諾が得られている。感染状況が落ち着けば、介入を進めていく。もし感染状況が変わらない、あるいは悪化するようであれば、オンライン形式での実施もできるよう準備を進める。 IBSに対する集団形式での認知行動療法については、京都大学病院の協力を得ることができており、介入を継続する。オンライン形式での実施体制も整えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は主たる勤務先の変更に伴い、新しい勤務先において研究を補助する協力者を確保することが困難であった。その後も新型コロナウイルスの流行が続いたことにより、研究開始の見通しが立ちにくく、新たな人材を確保することが難しい状況が続き、人件費として使用予定だった予算に残額が生じた。今後、データ整理のための人材や、東京においても臨床研究が始まった際には介入を担当する人材が必要となるため、人件費として使用予定である。また、臨床研究への参加者に対する謝礼品のための予算として使用することも検討している。さらに、オンライン形式での認知行動療法実施のための環境を整えるため、物品費として使用することも検討している。 そのほか、研究で使用する臨床試験データ登録システムの使用料も支出予定である。
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