刑事事件の再犯防止のためには、受刑者の再犯に関するリスクアセスメントおよびリスクマネジメントが必要である。しかし、本邦に おいて刑事施設内および社会内での処遇において、これらが定着しているとは言い難い。リスクアセスメントおよびリスクマネジメントが適切に行われるためには、リスク要因を明らかにするとともに、信頼性と妥当性を備えたリスクアセスメントツールが求められる。 本研究において、刑事施設被収容者を対象として、犯罪種別に応じたリスク要因を調査し、それぞれの特徴を示した。また、更生保護施設入所者(出所受刑者)を対象としてリスクアセスメントツールを用いて、リスク要因・保護要因を評価 し、これらツールの信頼性および妥当性を示すために調査を行なった。現在までに、2つ の更生保護施設 において29名にインタビューを実施し、そのうち24名に2回目のインタビューを終えた(5名はリタイアした)。リスクアセスメント ツールを用いたリスクフォーミュレーションによる事例理解を通して、更生保護施設における臨床的有用性を示唆した。また、リスクアセスメントツールの評価者間信頼性について検討し、報告を行なった。また、更生保護施設入所期間中の保護要因の動的要因が変化することを確かめた。
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