研究課題/領域番号 |
18K13344
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 昇 名古屋大学, 情報学研究科, 学振特別研究員(PD) (60813863)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自伝的記憶 / 抑うつ / 記憶抑制 / シングルケーススタディ |
研究実績の概要 |
本研究は自伝的記憶の概括化に対する介入が抑うつの治療および予防に効果的であるかどうか検討することを目的としている。さらに,自伝的記憶の概括化の修正が抑うつに影響するプロセスを説明する変数を特定することを目的としている。本年度は,(a)臨床群の大うつ病患者を対象としたケーススタディと,(b)非臨床群の大学生を対象としたプロセス変数を特定する基礎的研究を行った。 第一に,臨床群の大うつ病患者を対象としたケーススタディでは,自伝的記憶とエピソード的未来思考の効率的な修正を試みるプログラムを作成し実施した(松本・吉田,2018)。そこで得られた課題点を修正し,プログラムを洗練させた。次年度以降はこのプログラムを用いた介入研究を進めていく予定である。また,並行して,自伝的記憶の具体性トレーニング(Memory specificity training)の最適化を目指して,多層ベースライン研究の準備を進めている。 第二に,非臨床群の大学生を対象とした研究では,記憶の抑制が自伝的記憶の概括化に関連するかどうかの検討を行った。研究代表者は,記憶の抑制能力が自伝的記憶の概括化が抑うつに効果をもたらすプロセス変数となるのではないかと睨んでいる。実験は終了し,現在は結果の整理中である。次年度はその結果に基づき,大学生を対象としたRCT(ランダム化比較試験)を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画から若干の変更があったものの,研究は順調に進展している。臨床群,非臨床群の双方を対象とした研究が進み,RCTの実施準備が着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は,臨床群,非臨床群の双方で介入研究を進めていく。次年度は,臨床群を対象とした多層ベースライン研究と,非臨床群を対象としたRCTを一定の水準まで進展させる予定である。また,すでに得られた結果については,学会発表および論文化を目指す。
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