研究課題/領域番号 |
18K13346
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
豊島 彩 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (10779565)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 孤独感 / 高齢者 / 孤独 / 社会的孤立 / 主観的ウェルビーイング |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢期を対象として、一人で過ごす時間にポジティブ感情が伴う孤高状態と社会的孤立状態との違いを明らかにすることを目的とした。今年度では、引き続き高齢者を対象としたWEB調査と郵送調査のデータ解析と論文執筆を行った。その成果として、下記の結果を国際誌にて発表した。さらに、今までの研究成果をまとめた結果を国内の専門誌にて発表した。 一人でいる時間をポジティブに過ごす孤高状態を予測する尺度として、Preference for solitude scaleの日本語版に独自の追加項目を作成し、因子構造を確認した。その結果、とにかく一人になりたいと感じるといった「孤独を必要とする」こと、また、一人の時間を楽しみ、静かな場所で休息をとるのを好むといった「孤独を楽しむ」こと、そして、作業に集中するため一人になりたいと感じる「孤独の生産性を評価する」ことの3つの因子が得られた。 それぞれの因子得点と主観的ウェルビーイングとの関連を分析した結果、「孤独を楽しむ」 傾向が高い者は、ネガティブ感情が低いことが示された。また、効果としては弱いが、「孤独の生産性を評価する」傾向が高い者は、ポジティブ感情と人生満足度が高いことが分かった。一方で、孤独感との関連性に注目した結果、孤独を好む志向性は3つの要素すべてが孤独感の高さと関連していた。孤独感を介した効果を分析した結果の場合、孤独を好む志向性が主観的幸福感に与える効果は部分的であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主な成果を国際誌で発表したこと、それ以外の成果についても専門誌に発表したことから「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終段階として、最終的なアウトカムである社会的孤立との関連について検討を行う。 当初の計画では、最終年度にインタビュー調査を実施する計画であったが、すでにインタビューデータの二次分析の成果が得られていることと、残りの実施期間中に新たなインタビュー調査を完了するもとが困難であると判断し、今まで得た知見を元に、量的データによる検討を進める。一人で過ごす時間への志向性と社会的孤立のリスクの因果関係を明らかにするため、すでに実施された縦断データの分析を行い、一人で過ごす時間にポジティブ感情が伴う孤高状態と社会的孤立状態との違いを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、計画中であった調査内容を変更した。それに伴い、調査とそのデータ分析の期間が予定より遅くなった。そのため、引き続きデータ分析のための消耗品代と成果を発表するための旅費や英文校正費、論文掲載料などにあてる予定である。
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