研究課題/領域番号 |
18K13347
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山根 隆宏 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60644523)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム / 養育者 / オンラインサポート / ソーシャルサポート / 援助要請 / オンラインコミュニティ / 精神的健康 / オンライン情報 |
研究実績の概要 |
本研究は大目的として,オンライン上のソーシャルサポートが自閉症スペクトラム障害(ASD)児の親にとって,効果的なソーシャルサポート源になりえるかについて検証することであった。平成30年度から平成31年度にかけては,オンラインソーシャルサポートの質と利用の実態について調査することを目的としていた。まず,ASD児の親を対象にオンライン調査で収集していた縦断データの追加分析を行った。その結果,匿名他者によるオンラインサポートへの期待や,匿名他者に情緒的サポートを求めることが,自閉症児の親のストレスの悪化につながることが縦断データにおいても示唆された。このことは横断調査の結果を裏付ける結果であり,オンライン上のサポートを求める相手,特に匿名他者であることが,利用する自閉症児の親にとってのストレスにとっては好ましくない影響を持つことが考えられた。また,googleやyahoo等の主要な検索エンジンを利用して,関連キーワードを検索したときのヒットしたサイト数から,検索件数の多い主要なASDに関するウェブサイト30件ほどを選定した。現在,これらのウェブサイトについて,情報の質に関する評価方法の検討と海外の評価スケールの日本語版作成を進めている。 以上の結果や関連する研究成果については,国際行動科学学会(ISSBD2018)や国際学校心理学会(ISPA2018)等の国際学会にてポスター発表を行った。また,日本発達心理学会第30回大会の自主シンポジウム企画にて本成果の一部を口答発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに収集した縦断データの追加分析に時間がかかったこと,研究計画の精緻化を進める上で,関連研究のレビューを行ったことから,当初の予想以上に時間がかかることとなった。また,ASD関連のウェブサイトの質的評価の指標について,その指標の選定と,日本語版を新たに作成する必要があったことからも,当初の見込みよりも時間を割く必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
追加分析を行ったデータについては,今後は国内外の学会に論文投稿を進める予定である。選定したウェブサイトについて,複数名による情報の質評価を進めていく。また,質問紙調査ならびにオンライン調査の実施については,研究協力先の開拓をさらに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
自閉症関連のウェブサイトの質的評価を年度内に終えることができなかったため,質的評価指標の日本語版作成や,調査分析補助アルバイト費用などの予算が残ることになった。次年度はこれらの予算を利用して引き続き質的分析作業を進めていく。
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