研究課題/領域番号 |
18K13353
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
関口 真有 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (30813753)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 問題解決スキル / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
自己管理行動を高める心理的支援の一つに糖尿病に対する問題解決療法(PST)が挙げられる。糖尿病の自己管理行動に対するPSTのシステマティックレビューでは,成人を対象とした研究のうち71%の問題解決能力の向上,36%のHbA1c値の改善が示されている(Fitzpatrick et al., 2016)。これまでの本邦における療養指導では,食事や運動,服薬など知識提供,支持的な介入が主で行われている。患者が日々の中で抱えている療養行動に影響する,食事や運動だけに限らず様々なストレス状況での対処方略を見つけるプロセスを習得することはQOLの向上にもつながる。米国糖尿病教育者協会(AADE)でも,糖尿病を管理する上で習得すべきことの一つに「問題解決」が含まれている(Mulcahy et al., 2003)。本邦における2型糖尿病患者の自己管理行動に関連する問題解決スキルを測定する尺度は開発されておらず、本邦の2型糖尿病患者の状況に即した尺度開発が必要である。本研究は、尺度開発のための予備調査として、糖尿病管理が良好な患者と不良な患者における糖尿病関連の問題解決のパターンを特定し、比較検討を行うとともに、尺度項目の収集を行うことを目的とし、オンライン調査を行った。その結果、問題解決に苦慮する場面としては、「食事」「家族・友人との付き合い」「服薬関連・通院」「運動」「体重管理」「ストレスへの対処」が挙げられ、「食事」関連が一番多い問題解決が困難な場面であるという結果となった。問題解決の方法の多くが「医師に相談する」「ない」という回答が多く、自分自身で対処方略を見つけることに苦慮していることが示唆された。しかし、本研究で収集したデータ数は少なく、質的な検討しかできず、問題解決パターンを明らかにすることが出来なかった。今後はさらにデータを蓄積し、さらに検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の流行により、当初予定した対面での介入研究の実施が難しい状況が続いている。オンライン調査を用い今年度は研究を進めているが、当初の予定よりは遅れている状況である。来年度についても、引き続き調査の迅速かつ効率的な実施についても検討していく必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
Web調査会社に依頼し、糖尿病管理が良好な患者と不良な患者における糖尿病関連の問題解決のパターンを特定し、比較検討を行うとともに、尺度項目の収集を行うとともに、問題解決スキルがHbA1c値やQOLに与える影響について検討を行う。その上で、糖尿病患者に対する問題解決療法プログラムの開発を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、学会などがオンライン実施となったり、医療機関での研究実施が困難となったため研究実施が予定より遅れているため。Web調査を行うための費用、必要な物品購入、学会費用、論文投稿費用などにあてる予定である。
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