研究実績の概要 |
本年度はCOVID-19の影響が大きく、当初予定していた対面での不眠症の認知行動療法の実施が難しいことから、研究計画を修正し、大きく3つの研究を実施した。 1つ目の研究では、睡眠外来のカルテ・データを利用した後ろ向きコホート研究として、18歳未満の睡眠・覚醒リズム障害を対象に、CBT for circadian Rhythm disorder(CBT-R)が起床時刻の前進に有効であるかを探索的に検証した。CBT-Rは4セッションで、①心理教育、②睡眠・覚醒リズムに基づく睡眠スケジュール、③タイトレーション、④再発予防から構成されたプログラムで医師が実施した。その結果、46名(14.0±2.0歳)を解析対象としたところ、CBT-R実施前と比べ、実施後で起床時刻、就床時刻、入眠時刻、Mid-point, 床上時間、総睡眠時間、入眠潜時、中途覚醒の改善が認められた。これらの研究成果は現在、国際誌への投稿予定である。 2つ目は、対面での認知行動療法の実施が困難であることから、遠隔での認知行動療法の実施に向け、治療マテリアルの作成(CBTに関するPDF資料とそれを支援する映像資料)を行った。これらの成果を所属機関のホームーページにて一般公開を行った。 3つ目は、乳幼児の睡眠の問題に関連する要因を明らかにするため4ヶ月の乳幼児とその養育者を対象としたデータセットを用いた分析を実施した。その結果、乳幼児の夜泣きの問題に養育者の夜泣き時の関わりが関連することを明らかにした。これらの研究成果は、国際誌(Nursing Open)に掲載された。
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