研究課題/領域番号 |
18K13356
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
樫村 正美 日本医科大学, 医学部, 講師 (00550550)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 軽度認知障害 / 介護家族 / 高齢者 / 臨床試験 / 家族支援 / START |
研究実績の概要 |
平成30年度は軽度認知障害(以下MCI)高齢患者への認知行動療法(以下CBT)に基づいた介入(介入1)、その介護家族へのCBT介入(介入2)それぞれへのリクルートを開始した。これまでMCI、およびMCI疑いのあるうつ傾向の高い高齢患者3名が研究参加への意思を示したものの、現時点で介入プログラムを完遂した高齢患者は1名(事例A)、残りの2名は通院負担や時間的な拘束などを主な理由として研究には参加されなかった。また、事例Aの家族が介入に参加できないとのことで介入2は実施できなかった。事例Aに関しては、気分や健康に関連した生活の質(QOL)などにおいて介入後に改善がみられており、プログラム参加への満足度も非常に高かった。 介入2については、本研究ではMCI高齢患者本人が介入1への参加を拒否しても、介護負担を訴える家族のみが参加可能な介入プログラムを用意しており、平成30年度は11名のMCIおよび認知症の家族を抱える介護家族が本研究に参加し、11名全員がプログラムを完遂した。全体的に、うつ気分や健康に関連したQOLの改善がみられており、またプログラムへの参加満足度も高かった。介入2の評価については、現在6ヶ月フォローアップ評価が未実施の事例もあり、継続中である。 介入1および2において、現時点では有害事象は発生しておらず、毎回のセッションで評価している気分のモニタリングの結果からも介入による状態悪化は特に認められなかったことから、本研究で実施している介入プログラムはいずれも安全に実施することができるものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
介入1において、MCI高齢患者の研究参加者数が少なく、研究に遅れが生じている。介入2については概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も両介入プログラムについての安全性、実施可能性、および効果についての検討を進めていく。前述した通り、介入1のMCI高齢患者の参加者数が少なく、研究に遅れが生じてしまっている。参加しにくい主な理由として通院負担や時間的な拘束などが挙げられているが、これは研究計画当初からわかっていたことでもあり、この課題を解消するためにもリクルートの強化と実施方法の柔軟な変更が求められる。リクルートについては現在実施している2機関以外にも協力を要請することで課題の解消が期待でき、また実施方法の変更については対面式の介入にこだわりすぎず、電話やオンライン会話などの通信機器を補助的な手段として活用しながら進めていく必要もあると考えられる。 本研究ではMCIの高齢患者とその家族への介入を行うことを計画しているが、先述の通り両者がともに参加を表明されることはよほど参加へのモチベーションが高い方々ではない限り、非常に難しいことがわかってきている。これについても、平成30年度で柔軟に実施してきたように、介入1あるいは2のいずれかだけの参加も良しとする形で、参加者数の確保を図っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究参加リクルートが遅れてしまったため、参加者に支払う予定であった謝金や交通費などの分が余剰してしまった。次年度はリクルートの強化と実施方法の変更の工夫などを通し、研究参加者数を増やしていく予定であり、差額に関しては解消されると考えている。
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