研究課題/領域番号 |
18K13358
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
末木 新 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (80637439)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自殺 / 自殺予防 / ポジティブ心理学 / 感謝 / 自殺対策 / 強み特性 |
研究実績の概要 |
研究課題の核心をなす学術的な「問い」は、「自殺を予防し人を生き永らえさせる心理的特性(自殺の保護因子)がどのようなものであり(問1)、その特性はどのようにすれば涵養することが可能か?(問2)」というものである。この問いの背景には、既存の自殺予防戦略が主として自殺の危険因子を除去することに偏重してきたという問題点がある。本研究では上述の問題を解消するために、ポジティブ心理学の知見を自殺予防のために臨床応用するという立場をとる。 昨年度までの調査研究において、自殺念慮と関わる強み特性を明らかにするための調査を実施し、どのような強み特性に働きかけることによって自殺念慮を低減させることができるかを検討した。その上で、今年度は感謝を数える(counting blessings)介入が自殺念慮及び抑うつ感に与える影響について検討をしたインターネット調査のデータを解析し、論文化した。介入は、インターネット調査会社の登録パネルを対象として行い、1か月間のベースライン期間の測定の後に、感謝を数える介入を実施し、参加者の自殺念慮及び抑うつ感の変化を検討した。225名の実験参加者のデータを解析した結果、感謝を数える介入にしっかりとコミットすることは、介入後の自殺念慮・抑うつ感の低さと関連していた(p = 0.055, d = 0.22)。ただし、インターネット調査においては、縦断的に介入にきちんとコミットする者の割合が低く、今後、この割合をあげていく手法を考えることが課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自殺念慮に関わる強み特性を検討した後に、その強み特性へ介入を行うことが自殺念慮の低減につながるか否かを検討するかが本研究計画の根幹である。今年度までに介入を終え、その分析結果をまとめることができたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、分析結果を投稿し審査を受けているため、受理に向けての作業を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査および介入実験にかかる費用を想定よりもおさえることができた。今後は、論文の受理に向けて作業を行っていく。
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