研究課題/領域番号 |
18K13360
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
越川 陽介 関西医科大学, 医学部, 研究員 (70807156)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フォーカシング / FMS / EXPスケール / うつ病 / パーソナルリカバリー / QOL |
研究実績の概要 |
うつ病は心の健康を著しく低下させ健康寿命の延伸を阻害している疾患である。また、近年うつ病症状の回復とは別に、患者自身の主観的なQOLを向上させ、病気を抱えながらも充実した生活を送ることが重要であると言われており、これをパーソナルリカバリーという。一方、身体で感じながらもまだ十分に言葉になっていない感覚を扱って自己理解を深める「フォーカシング」という心理療法がある。フォーカシングは患者の個別性に柔軟に対応することができるため、一人一人の回復のゴールが異なるパーソナルリカバリーにとっても極めて有益なアプローチと言える。しかし、精神科領域でフォーカシングの意義の検証は活発ではないことが問題点であると言える。本研究は、うつ病患者や健常者それぞれ60名を対象とし、主観的QOLとフォーカシングの能力を測定し、その差異や関連を検討するものであり、フォーカシングの精神科領域臨床応用のための基礎的資料を提供することを目的としている。 本年度の実績は以下の通りである。研究成果の発表までには、研究内容の倫理審査委員会の承認などの研究環境の整備、研究協力者のリクルート及び実施、収集したデータの整理、統計解析のプロセスを踏むこととなる。本年度は主として研究環境の整備に当てられた。研究内容の調整及び研究内容の倫理審査委員会での審議、承認を経て実施体制が完了した。また、研究協力者のリクルートも本年度内に開始され、健常者を対象とした研究協力者募集のための説明会を計4回ほど行った。本研究の周知の促進をしたことによって2019年2月のリクルートの開始から2019年3月末までに、健常者32名が本研究にエントリーした。また、うつ病患者においても9名がエントリーした。また、迅速な結果の提供のため収集された資料を順次データ化していく様に体制を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
倫理審査委員会からの承認を経るまでの過程に想定以上の時間を要してしまった点が研究の進捗状況の遅れにつながっていると考えられる。また、6月~11月の繁忙期において、そのほか同時進行で進んでいる研究業務やそれに付随する事務作業にかかる時間が当初の想定よりも大きく、上記の期間の間、想定していたエフォートを本研究に割くことができなかったことも理由としてあげられる。一方で、研究環境が整ったのちの研究協力者のリクルートでは2ヶ月間で目標人数の30%程度を達成することができたため、進捗の深刻な遅れは回避できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度では主として研究協力者のリクルート及び研究内容の実施を行う。現在研究協力が順調に進んでいる健常者のエントリーを早々に完了し、うつ病患者のリクルートに注力できるようにできたらと考えている。また、スムーズな解析の実施のために、回収できたデータの整理を同時進行で行うことで、素早い成果発表につなげていけたらと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研究進行度に比べ、研究実施可能日がずれ込んだため、研究協力者へのリクルートおよび研究実施の実質期間が短かったため。次年度1年間を中心としてリクルートおよび研究実施のために予算を執行する予定である。
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