研究課題/領域番号 |
18K13360
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
越川 陽介 関西医科大学, 医学部, 研究員 (70807156)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フォーカシング / QOL / パーソナルリカバリー / うつ病 |
研究実績の概要 |
2021年度の実績は以下の通りである。前年度に引き続き研究協力者のリクルートを行なった。健常者およびうつ病患者のエントリーに関して、健常者は前年度と変わらず57名のままであった。うつ病患者に関しては前年度までの35名から8名新規エントリーが完了し合計43名まで増加した。登録率は全体で83%に達している状況である。前回報告した通り、精神疾患患者におけるフォーカシングに関するデータの集積は、その機会が多くないことからこれまで十分にされてこなかったため、今回のうつ病患者のデータの増加は、今後の精神科医療におけるフォーカシングの援用の一助になると思われる。 また、収集した質問紙などのデータ化に関しても収集したデータのうち9割程度入力業務が完了している。また、音声データの逐語録化にも着手し5割程度完了した。 本年度は本研究の基盤となるうつ病におけるQOLに関するレビューを投稿し、うつ病におけるQOLの特徴、抗うつ薬や心理療法で得られるQOLへの効果、パーソナルリカバリーを評価する上での評価尺度について報告した。また、うつ病治療におけるQOLの意義についてパーソナルリカバリーの観点から言及し、QOL評価尺度の中でも本研究でも施行しているSchedule for the evaluation of individual quality of life-direct weighting (SEIQoL-DW)は当事者一人ひとりが重要視している生活領域を取り扱うことができる点からパーソナルリカバリーを実現させるためのQOL評価として有用であることに言及している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の進歩状況がやや遅れている原因は、前年度と同様に新型コロナウイルス感染症の蔓延が理由としてあげられる。感染への対策のため受診間隔が延びるなどの対策が現場として行われており、その結果として対象者への研究協力依頼の機会が減じてしまった。このため想定していたペースで症例をエントリーすることが難しく想定よりも進捗が遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力依頼の機会が減じたことに対しては、研究課題の年度を1年延長し、対応する。 引き続きうつ病群のエントリーを視野にいれてリクルートを行なっていく。しかし、健常者群とうつ病群とのエントリーの差が縮まってきたことも鑑み、8月頃を目処にリクルートを終了し成果発表に向けて資料の整理やデータ化を行い結果の報告ができる様に対応をしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い研究協力者のリクルートに遅延が生じ、それに伴い必要だった謝金などの支払いが想定よりも少なかったため。また、同様に旅費や人件費の執行が行えず、繰り越す必要が出たため。次年度は本年度に引き続き、音声データの逐語録化や学会参加などの旅費に使用できたらと考える。
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