最終年度(令和3年度)の目的は、2年度目に1群のオープン試験(前後比較試験)により安全性と有効性が確認された「対面による1日完結型のIPEプログラム」の有効性をランダム化比較試験により検証することであった。しかし、令和3年度も、新型コロナウイルス感染症感染拡大により、同プログラムを対面で実施することが困難であった。そこで、今後のランダム化比較試験につなげるために、令和3年度は対面によるIPEプログラムをオンラインによるリモートIPEプログラムへ転換することを試みた。具体的には、プログラムの進行方法、各種教材、講師・ファシリテーターマニュアルなどをオンライン用に改変し、「オンラインによる1日完結型のIPEプログラム」を実施し、その安全性と有効性を2年度目に実施した「対面による1日完結型のIPEプログラム」と同様の方法で検討した。 結果として、本IPEプログラムに9大学4専攻(心理学専攻、医学科、看護学科、社会福祉学科)から計18名が参加した。受講前後に、日本語版Readiness for Interprofessional Learning Scale(RIPLS)などの5つの心理尺度を実施し、受講前後の変化量を算出した結果、オンラインによるIPEプログラムも対面と同様に、より好ましい態度へと変化することが確認された。また、心理学専攻に在籍する受講者のデータのみを用いたサブグループ解析を行った結果、同様の傾向が確認された。さらに、オンライン(本年度実施)と対面(2年度目実施)とで各心理尺度における受講前後の変化量の差を検討した結果、実施形態による差は示されなかった。本研究により、ニューノーマルに対応した新たな専門職連携の教育方法を検討することができた。今後、心理職養成課程の学生に対して本研究で開発されたIPEプログラムを導入・普及するための方法を探索する必要があると考えられる。
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