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2019 年度 実施状況報告書

時間感覚障害に着目した統合失調症の学習デザインの構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K13363
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

上田 奈津貴  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, リサーチフェロー (50807922)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード統合失調症 / 認知機能 / 時間感覚
研究実績の概要

本研究は,統合失調症における時間感覚障害の評価法,訓練法を開発し,統合失調症の認知機能改善につなげることが目標である.初年度は課題の作成と予備実験を複数の課題について検討した.統合失調症の時間感覚障害を捉えるため,病理学的妥当性・実現可能性の両面から検討し,適切な課題を作成することを中心に研究を進めた.時間感覚を測定する課題にはprospectiveな時間感覚を測定するものとretrospectiveな時間感覚を測定するものが存在するが,本研究ではprospectiveな時間感覚を測定する課題を使用し,できるだけ記憶能力など時間感覚に影響する他の認知的要素を減らすことに努めた.本年度は,初年度で作成した課題のデータを健常者・統合失調症患者を中心に収集した.課題は統合失調症の時間感覚を非言語的・量的に測定するため,古典的な時間再生課題を採用した.課題は患者の疲労度も考慮し,課題の時間は25分程度で終了するように設定した.また,治療薬による運動機能への影響も鑑み,運動機能の測定も実施した.また,これらの基本課題のほかに,各種症状データも取得した.本研究は年度内に目標人数を達成し,統計解析を終え,国際学会で途中経過を発表した.統計解析の結果,統合失調症の陽性症状の重篤度と時間感覚障害が相関することが明らかになり,当初の仮説を支持する結果となった.しかし健常者と統合失調患者の間の課題成績の差はわずかであり,この原因を含め検討し,今後国際誌にて発表する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究に関連する研究成果が国際誌に掲載された.また,国際学会の発表を通して多くの議論を重ね,それらをもとに新たな研究成果を学術誌に投稿する予定である.また,本年度の成果をもとに神経画像研究へ研究を発展させる準備も進めており,来年度は当初の計画以上の成果を出せる可能性がある.

今後の研究の推進方策

今後,本研究の成果を論文にまとめ,国際誌に投稿することで本研究に関する議論をより深めていきたいと考える.また,健常者においても時間感覚に関する情報がどのように脳内にて統合されるかについては未だ議論がされている状況であり,今後神経学的研究も含め本研究を発展させていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

本来国内学会・国際学会に参加する予定があったが,本人の体調不良のため予定を見合わせたため.学会参加は次年度に持ち越す予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Time estimation in a case of Tourette’s syndrome; Effect of antipsychotic medications2020

    • 著者名/発表者名
      T, Inagawa., N, Ueda., K, Nakagome., T, Sumiyoshi
    • 雑誌名

      Neuropsychopharmacology Reports

      巻: 00 ページ: 1-3

    • DOI

      10.1002/npr2.12101

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Neural correlates of temporal updating and reasoning in association with neuropsychiatric disorders2019

    • 著者名/発表者名
      N, Ueda., T, Hanakawa
    • 雑誌名

      Behavioral and Brain Sciences

      巻: 42 ページ: e276

    • DOI

      https://doi.org/10.1017/S0140525X19000426

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Increased central bias in time reproduction in schizophrenia with predominantly positive symptoms2019

    • 著者名/発表者名
      Natsuki Uedaa, Kanji Tanaka, Kazushi Maruo, Tomiki Sumiyoshi, Katsumi Watanabee, & Takashi Hanakawa
    • 学会等名
      WPA 2019 World Congress of Psychiatry
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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