研究課題/領域番号 |
18K13363
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
上田 奈津貴 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, リサーチフェロー (50807922)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 時間感覚 / 認知機能 / 統合失調症 / 感覚推定 |
研究実績の概要 |
時間感覚障害は統合失調症の認知機能障害の中でも一次的な障害であることが示唆されているため,そのメカニズムを明らかにすることは統合失調症の認知機能改善の手がかりとなると考えられる.そのため本研究は,統合失調症における時間感覚障害の性質を明らかにし,統合失調症の認知機能改善につなげることを目標とした.これまで統合失調症患者は感覚推定の障害がある可能性が指摘されてきたが,これまでの研究では感覚推定の障害が見られるとした研究と障害が見られないとされた研究があり,矛盾した結果が見られていた.また,統合失調症における感覚推定障害と時間間感覚障害の関連も明らかではない.そのため,本研究では時間感覚課題を用い,統合失調症における時間感覚障害が感覚推定とどのように関係するかを明らかにすることを目指した. 初年度は課題の作成と予備実験を複数の課題について検討した.次年度は,初年度で作成した課題のデータを健常者・統合失調症患者を中心に収集した.2020年度は当初学会発表や共同研究者との議論等により得られたデータの考察を深めることを予定していたが,緊急事態宣言等により学会や議論の機会が制限され,当初の予定から論文執筆が遅れた.その中でも,オンライン等で共同研究者との議論を進め,データの解析の再検討と論文執筆を行なった.データの解析では健常者と統合失調症患者の時間感覚課題の成績の比較,また,統合失調症の症状重篤度と課題成績との相関などを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初学会発表や共同研究者との議論等により得られたデータの考察を深めることを予定していたが,緊急事態宣言等により学会や議論の機会が制限され,当初の予定から論文執筆が遅れた.また,解析方法として採用した混合効果モデルを使用する中で当初予定していたプログラミング言語を変更する必要が生じ,ソフトウェア使用の手続きや新たなプログラム言語の習得のための時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
ZOOM等での議論やオンライン学会が開催されるようになるなど,本研究の議論の場は増えてきているため,このようなオンラインでの機会を利用し本研究の議論を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により,学会参加や打ち合わせが困難となり,旅費の使用ができなかったため.また,そのために当初計画していた論文出版が遅れ,論文出版費を使用しなかったため.次年度は学会参加,オンラインでの打ち合わせとともに,最終的に解析に必要となった解析ソフトウェア・PCの購入,論文出版費用などに使用し,研究の遂行・研究成果の公表のために助成金を使用する計画である.
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