本研究は、中心視野よりも粗い空間解像度を持つ周辺視野で、なぜ明瞭で一様な視覚世界を知覚することが可能なのかについて、周辺視野における空間圧縮現象の詳細を調べることで明らかにすることを目的とした。 研究の結果、周辺視野ではランダムドットテクスチャと呼ばれる多数のドットの集合で構成される画像が、提示範囲全体は圧縮して見える一方、個々のドットの間隔は逆に広がって見えることを発見した。さらに、時間的に離れた二つの物体が呈示された時、先行呈示された物体の見かけの位置が後発の物体の位置に大きく影響されること、そして、その影響の時間範囲は300ms程度の広がりを持つことを発見した。
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